第27回映画祭TAMA CINEMA FORUM
TAMA映画祭と縁のある松居大悟監督の新作、映画と演劇の狭間でもがきながら生きる姿を描いたワンカット74分の衝撃作『アイスと雨音』の特別先行プレビューと、同じく高校生たちが主役のコンクールに挑戦する若者たちを寄り添うように描いた青春映画『タレンタイム〜優しい歌』を併映。上映後は、松居大悟監督、志磨遼平さん(ドレスコーズ)、司会に門間雄介さんをお迎えして、トークを行いました。
本プログラムは、『アイスと雨音』の先行上映が決まってから、併映作品として『タレンタイム〜優しい歌』が決定したのですが、なんと、志磨さんも門間さんも今年観た青春映画洋・邦ナンバーワン作品!ということで、勢い良く3人でのトークがスタート。
松居監督のつくる舞台と映画の共通点、『アイスと雨音』の作り方、撮り方、ギミックなど、ワンシーンワンシーンの細かい部分のお話もあり、興味深くのめり込むようにトークを聞き入っているお客さんの姿も多く見られました。途中、志磨さんへ「(『アイスと雨音』は)ミュージシャン的な視点としてはどうですか?」という質問があり、「境界線をまたぐような音楽。この映画の凄さは境界線をまたぎまくる。MOROHA以外では考えられない」というミュージシャンならではの志磨さんの回答も、凄く印象に残りました。
また、以前ドレスコーズのミュージックビデオもつくられたことがある松居監督が「ドレスコーズの音楽は、言語化されていない感情。志磨さんはそれを音楽のアプローチでしている。名前をつければ楽しいとかになるけど、なるべくカテゴリーや引き出しにいれないようにして、逆らいながらそのまま見せようとしている」と、ドレスコーズの音楽について語る一幕も。「それは『タレンタイム』にも通じる。一番大事なことは(言葉でなく)手話や歌で表現している」と志磨さん。
最後に、当日会場に来ていた『アイスと雨音』に出演している森田想さんと戸塚丈太郎さんがサプライズでご登壇。演劇も行う会場で映画を鑑賞し、当日その映画に出ていた方々がステージの上に登場するという、まさに現実と作品が交差した感覚になるような『アイスと雨音』な時間でした。