第27回映画祭TAMA CINEMA FORUM
写真家・中平卓馬氏を追った『きわめてよいふうけい』(2004年)と、スマトラ島沖地震10年後の『After 10 Years』(2016年)。写真家・ホンマタカシ氏による映画監督作品2本を上映しました。上映後にはホンマタカシ氏と写真評論家のタカザワケンジ氏をお迎えし、トークが行われました。
映画をもう一度観たいと観客席に入ったタカザワ氏。映画上映が終わるころ、渋滞に巻き込まれたとの連絡がホンマ氏から入り、急遽、来場していた配給のメジロフィルムズ、松下加奈氏が到着まで壇上に登ることに。お二人とも快く受けてくださり、トークが始まりました。
2016年にメジロフィルムズ配給の『A FILM ABOUT COFFEE』をTAMA映画フォーラム実行委員会の特別上映会にて上映した際に、同時開催したコーヒーの特別試飲会&レクチャーでコーヒーを飲んだり煎れたりした話から始まったトークは次第に映画の話に移り、写真家であるホンマ氏が映像作品、しかもフィクションではなくドキュメンタリーを撮ることが意外である等々話がはずんでいるところにホンマ氏が手持ちの水筒をもって到着。
ホンマ氏は気さくに「やあ!」という感じですぐにトークに参加。撮ってみたかったという“ポートレート映画”について語っていただきました。『きわめてよいふうけい』は、ポートレートを映画でできないかというアイデアを始まりとしたとのこと。普通のインタヴューをするようなドキュメンタリーではなく、中平さん自身、あるいは風景と共に出演者が中平さんと過ごした時間を観ることの大切さがトークから伝わってきました。
また、『After 10 Years』に関しての写真と映画の中間領域としての定点撮影についてのお話では、シナリオにない入ったり、出ていくものの不意打ちに驚くことをタカザワ氏が指摘されると、ホンマ氏は鳥の声、波、掃除の音のハーモニーに感動し、音でもポートレートができないかと考えていることを語ってくださいました。
ホンマ氏とタカザワ氏にはQ&Aコーナーでもお客様からの質問に丁寧にお答えいただき、更にお話が広がりました。写真と映画について新しい映像作品の提示を今後も期待しております。