第28回映画祭TAMA CINEMA FORUM

プログラム紹介

【B-6】名優・樹木希林

11/23[祝・金] パルテノン多摩小ホール

チケット料金

一般
前売:1,200円 / 当日:1,400円
子ども(4歳~小学生)
前売:800円 / 当日:900円

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歩いても 歩いても

  • 2008年/エンジンフイルム、バンダイビジュアル、テレビマンユニオン、衛星劇場、シネカノン製作/アスミック・エース配給/114分
  • 監督・原作・脚本・編集=是枝裕和
  • 企画プロデューサー=安田匡裕
  • プロデューサー=加藤悦弘、田口聖
  • 撮影=山崎裕
  • 美術=磯見俊裕、三ツ松けいこ
  • 音楽=ゴンチチ
  • 出演=阿部寛、夏川結衣、YOU、高橋和也、田中祥平、樹木希林、原田芳雄

ストーリー

15年前に亡くなった長男の命日に、次男である良多(阿部)は妻ゆかり(夏川)と妻の連れ子であるあつしとともに久々に帰省する。跡取りで自慢の息子だった兄の死をいまだ受け止めきれない両親(原田・樹木)と過ごす実家は良多にとって居心地のいいものではない。それぞれの思いが交差し、家族の一日が過ぎていく。

コメント

「人生は、いつもちょっとだけ間に合わない」。頭ではわかっているのに、些細な変化を見過ごし、交わした小さな約束を忘れ、取り返しがつかなくなってようやく悔やむ。特に、一番近く、うっとうしくもいとおしい家族については。

ある家族のある夏の日が描かれている。特に事件は起こらない。そのかわり、人物同士の関係性が、練り上げられたせりふと絶妙な間合い、芸達者な俳優たちの視線や仕草によって時間をかけて表現される。何ということのない日常のなか、樹木が演じる母親のトゲのある言葉や残酷さがにじむ横顔は、映画に緊張感をもたらしている。

それぞれが複雑な感情、言えない本音を抱え、「ブルー・ライト・ヨコハマ」が流れるなか囲む食卓。にぎやかな笑顔とどうしても訪れる沈黙、親と子の気持ちのすれ違い、机の下での見えない攻防、あぁ家族だなぁと思う。不変なもののなかで変わっていくものがさりげなく映し出され、それに気づいてもどうしていいのかわからず取りこぼしてしまう哀しさがしみる。(大)

わが母の記

  • 2012年/「わが母の記」製作委員会製作/松竹配給/118分
  • 監督・脚本=原田眞人
  • 原作=井上靖
  • プロデューサー=石塚慶生
  • 撮影=芦澤明子
  • 美術=山崎秀満
  • 音楽=富貴晴美
  • 編集=原田遊人
  • 出演=役所広司、樹木希林、宮﨑あおい、南果歩、キムラ緑子、ミムラ、菊池亜希子、三浦貴大、真野恵里菜

ストーリー

幼少期に家族と離れて暮らした小説家の伊上洪作(役所)は、母・八重(樹木)に捨てられたのだと当時を振り返っている。父が他界した後の、老いていく母との時間のなかでもその思いは強く残ったままだった。しかし、三女・琴子(宮﨑)をはじめとした家族の言動などから、洪作は少しずつ母の思いに気づかされていく……。

コメント

親を思うことは、自身の源流をたどることなのだろうか。忘れられない記憶(とくに幼少期の)は、五感すべてによって形成され、その後の価値観に大きく作用するものである。

ただし、主観は物事をややこしくすることがある。家族という共同体のなかにあっては、もしかするとそれが顕著なのかもしれない。それでも、家族の関係は簡単に切れないものであり、その関係自体も時間とともに変化していく。

八重の姿は、その変化を見事に表している。会話が曖昧になっていく様は、頼りになる存在へと成長していく琴子とは対照的だ。そんななか、記憶と妄想の海を漂いながら洪作の幼少期の詩を暗唱したときの八重の表情からは、複雑に絡み合う長年のいくつもの感情を読み取ることができた。時間経過と関係の変化がもたらした美しい瞬間が、脳裏に焼きついて離れない。

第4回TAMA映画賞・最優秀女優賞や第36回日本アカデミー賞・最優秀主演女優賞を受賞するなど、樹木の代表作のひとつといえよう。(渉)

プログラム一覧

今泉力哉監督、三宅唱監督
東出昌大氏、金原由佳氏(映画ジャーナリスト)
望月衣塑子氏(東京新聞社会部記者)
大九明子監督、菊地健雄監督、白石裕菜企画プロデューサー、八尾香澄プロデューサー
伊藤沙莉氏、渋川清彦氏、飯塚健監督
高橋隆大氏、長尾理世氏、石丸将吾氏、唐鎌将仁氏、飯野舞耶氏、律子氏(以上出演者)、石川貴雄氏(助監督)
清原惟監督、佐々木敦氏(批評家/HEADZ)、長尾理世氏(『ゾンからのメッセージ』出演)、律子氏(『ゾンからのメッセージ』、『わたしたちの家』出演)
ベルトラン・マンディコ監督、エリナ・レーヴェンソン氏(女優)、五所純子氏(文筆家)
有坂塁氏(移動映画館「キノ・イグルー」代表)
原一男監督
遠藤麻衣子監督、夏目深雪氏(批評家、編集者)
村川透監督
団地団
(大山顕氏、佐藤大氏、速水健朗氏、稲田豊史氏、山内マリコ氏)
細川徹監督、三宅弘城氏
菊地健雄監督、片桐はいり氏
カメ止めチーム
中野ダンキチ氏(サメンテイター)、藤田みさ氏(ラジオパーソナリティ)、中野将樹氏(芸術家)ほか
深川麻衣氏、志田彩良氏
枝優花監督、穂志もえか(保紫 萌香)氏、金原由佳氏(映画ジャーナリスト)