第28回映画祭TAMA CINEMA FORUM
国防省の防空警戒システム受注に絡んだ財界の連続誘拐事件が発生。殺し屋鳴海昌平(松田)は東日グループ会長から5千万円で人質の救出依頼を受ける。誘拐実行犯の情婦から居場所を聞き出し人質を救出するも、脱出途中に何者かに人質を射殺され、鳴海も負傷する。鳴海は報酬を返しに行くが、事件の黒幕の暗殺を再度依頼される。
東映セントラルフィルム第1回製作作品であり、遊戯シリーズ第1作であり、村川透監督の映画復帰第1作であり、映画俳優松田優作の魅力を120%引き出した、日本映画史を語る上で欠かすことの出来ない作品。プログラム・ピクチュアの流れを汲み低予算ながらも大ヒットとなり、日本映画史上最も利益を上げた作品の一つと言われる。
当時40代前半の黒澤満プロデューサーと村川透監督、30代の仙元誠三キャメラマン、20代の松田優作の若い感性と情熱が一体化し、信じられないくらいのエネルギーが作品に注ぎ込まれ、名画座に何度も足を運ぶ熱狂的なファンを獲得した。また、大野雄二のスリリングな音楽がこの作品を更なる高みに押し上げたといえる。
この映画を観た人は全員、レイバンのサングラス、革ジャン、S&W M29 8-3/8インチのモデルガンを買った。このような野心と娯楽性に溢れ観客を魅了する作品がかつてあったのだ。(石)
腕利きの殺し屋鳴海昌平(松田)は、5年前に殺した頭山会会長の当時の秘書で唯一の目撃者美沙子(中島)と偶然再会する。会長の利権を引き継いだ彼女は、暴力団寿会の勝田会長(佐藤)の愛人となっていた。寿会と花井組の抗争が激化する中、双方から殺しの依頼を受けた鳴海は、最も危険な殺人ゲーム<遊戯>を開始。殺し屋=優作が闇の中を豹のように走る、跳ぶ、撃ちまくる!
この作品は、前作『最も危険な遊戯』の大ヒットを受け、黒沢満プロデューサーと東映セントラルフィルムにより、遊戯シリーズ第2弾として製作された。
村川透監督、仙元誠三キャメラマンなど、松田優作が厚い信頼を寄せるスタッフにより、細身で鍛え抜かれた身体を持ち、どこまでもクールな表情を崩さない松田優作の稀有な個性が生み出す魅力のすべてを引き出すことに成功している。荒唐無稽なストーリー展開も、松田優作の生々しい息遣いが有無を言わさぬ説得力で観客に迫り、苦もなく受け入れられてしまう。いつまでも松田優作の人気が衰えないのは、出演作のすべてのなかで彼が生き続けているからであろう。
コミカルとシリアスの微妙な配分は、後に、この作品と同じく黒澤プロデューサー、村川監督、仙元キャメラマンとタッグを組んだテレビドラマ「探偵物語」に引き継がれ、松田優作の名を一般に大きく広める事となる。(丈)
1937年生まれ、山形県出身。日活で舛田利雄、中平康の助監督を務め、『白い指の戯れ』(72年)で監督デビュー。日活を退社し一時郷里に戻るも、テレビドラマ「大都会 闘いの日々」(76年)で監督復帰、『最も危険な遊戯』(78年)で映画監督本格復帰。遊戯シリーズ、『蘇える金狼』(79年)、『野獣死すべし』(80年)、テレビドラマ「探偵物語」(79~80年)などで松田優作とコンビを組む。「西部警察」(79~84年)、「あぶない刑事」(86~87年)など多数の人気シリーズを手掛ける。