第28回映画祭TAMA CINEMA FORUM
結婚に踏ん切りがつかずにカレと別れたこじらせ女子・ふみ(深川)は、パン屋で働いている。ふみは偶然再会した中学の同級生、ハツコイ相手のバス運転手・たもつ(山下)と付き合い始めるが、彼からバツイチ・子持ちであると告げられる。そして中学時代にふみを好きだった主婦・さとみ(伊藤)も絡み、おかしな三角関係かと思いきや……。
映画は普通、スクリーンのなかのドラマを客席から見て感情移入したり、感動したりするもの。でもこの映画、出演者が横並びになるシーンが多いことにお気づきですか?重要なシーンでは、ふみと誰かが横に並び、目線と微妙な表情によって、対面した私たち観客に時間を与え何かを考えさせる。観客は、ふみと元カレとのシーンでの2人の目線の違いから噛み合わない将来を察し、バス待ちのふみの1ショットでバスの営業所を見ていること、そのくり返しでそこで働くたもつを想っていること、終いにはそこにフレームインしたたもつとお願いしていた洗車機デートをするまでの展開を自然の流れとして受け入れる。ふみの部屋、ふみとたもつに妹の二胡(志田)を加えての3ショットのみつめる先は、もう疑う余地もなく二胡が描いたふみの肖像画。このくり返しに慣らされた観客は、ラストシーン、客席ではなく昇る朝日に向かって寄り添う2ショットから、二人の明るく幸せな行く末を想像させられる。チャップリンの『モダン・タイムス』のエンディングさながらに……。見事な映像表現、今泉マジックです。(伊)
1991年生まれ、静岡県出身。2011年から16年まで、アイドルグループ「乃木坂46」の第1期生として活動する。卒業後は女優としての活動を開始。17年には舞台「スキップ」で初主演を務め、テレビドラマ作品では「プリンセスメゾン」「世にも奇妙な物語'17秋の特別編“ポニーテール”」などに出演する。本年は『パンとバスと2度目のハツコイ』で映画初出演・初主演を果たした。
1999年生まれ、神奈川県出身。2013年にモデルとしてデビュー。14年に短編映画『サルビア』に主演。テレビドラマでは、「問題のあるレストラン」(15年)「東京センチメンタル」(16年)「都庁爆破!」「チア☆ダン」(いずれも18年)などに出演。映画では『ひかりのたび』(17年)で主演したほか、短編映画『ブレイカーズ』『きらきら眼鏡』(いずれも18年)など。『パンとバスと2度目のハツコイ』では、深川麻衣演じるふみの妹役を演じている。