第31回映画祭TAMA CINEMA FORUM
世界最大規模のニューヨーク・ブックフェアの裏側からブックセラーたちの世界を捉えたドキュメンタリー。業界で名を知られるブックディーラー、書店主、コレクターや伝説の人物まで、本を探し、本を売り、本を愛する個性豊かな人々が登場。「若草物語」のルイザ・メイ・オルコットが偽名で執筆したパルプ小説や「不思議の国のアリス」のオリジナル原稿といった希少本も多数紹介する。
世界最大規模のブックフェアの場面から始まるこの映画は、とにかく本への愛に満ちあふれている。
若い世代の活字離れ、ダウンロードして読書する人やインターネットで本を買う人が増え、本屋さんにとっては厳しい時代。実際、ニューヨークでも東京でも書店の数は減っている。このまま、本の文化は衰退し消滅してしまうのか……。
そんなことはない、大丈夫。この映画を観たら、そう実感できる。
希少本の数々、天井まで続く圧巻の本棚、オーナーのセンスを感じる書店の外装や内装。古書業界の裏側、貸した本が返ってこないエピソード。そして、なんといっても本に関わる人々が魅力的なのだ。本の世界は読書や装丁装本だけにあらず、人から人へ本が旅する過程も含んでいると教えてくれる。
こんな素敵な人たちと、この映画を観てワクワクする私たちがいれば、大丈夫。本の文化はこれからも私たちを魅了しつづけてくれる。
No Book, No Life !!
さぁ、本屋さんへ行こう。(iku)
1978年生まれ、東京都出身。よはく舎、マルジナリア書店代表。編集担当最新作は9月、10月に発売した「AHIRU LIFE」「YOUTHQUAKE」(いずれも2021年)。
1988年生まれ、名古屋市出身。小鳥書房、店主/代表。2015年、小さな出版社「小鳥書房」と地域に開いたシェアハウス「コトナハウス」を国立市谷保のダイヤ街商店街に立ち上げる。19年、小鳥書房の本屋を開店。