第29回映画祭TAMA CINEMA FORUM
「地方で映画を創造する」と題したこの企画では、水戸在住の鈴木洋平監督の『YEAH』、女優で『YEAH』にも主演している柳英里紗さんの監督デビュー作『VERY FANCY』、山口情報芸術センター(通称YCAM)で製作された染谷将太監督の『ブランク』、同じくYCAM製作の三宅唱監督『ワイルドツアー』と、山口や水戸で撮影・製作された4作品を上映いたしました。
『VERY FANCY』の上映後には急遽、柳英里紗さんと『YEAH』に出演されている廣田朋菜さん、『VERY FANCY』に出演されている空美さんの3名で舞台挨拶が行われました。それぞれの作品製作の経緯や『YEAH』というタイトルの由来についてお聞きすることができた、みなさんの仲の良さが伝わってくる時間となりました。
4作品上映後のトークでは、ゲストには鈴木洋平監督、柳英里紗さん、YCAMでキュレーターを務められ、『ブランク』と『ワイルドツアー』のプロデューサーである杉原英純さんをお迎えし、お話を伺いました。
『YEAH』について、鈴木監督から事前に何も聞かされなかったという本作主演の柳さんは、撮影まで何もわからないまま参加したとのこと。ただ、ロケ地の若宮団地に訪れ、そこで『YEAH』に登場するアコのようなちょっと変わった人がいっぱいいたのを実際に目にすることで、その場所にいる普通の人を演じればいいのだとわかったと、当時のことを振り返り語っていただきました。その土地に行ってみたら、監督の意図が掴めたというエピソードは、場所と映画の関係性が伺い知れる、貴重なお話でした。
また、柳さんが監督された『VERY FANCY』について話がおよぶと、本企画内で唯一東京撮影となっているこの作品について「地方で撮影をしていなくても“映画のなかの地方”という印象を持った」と鈴木監督は語り、そして杉原さんからは、染谷将太監督の『ブランク』とともに「俳優が撮る映画」になっているとコメント。柳さんからは、俳優として映画をやってきた経験から、カメラや楽屋や撮影後の和やかな時間といった、“映画には映らないもの”を映画に込めてみたと、その理由について語っていただきました。
ゲストトークでは、どの作品も監督の自由な発想が生かされ完成したということがとても印象に残りました。ご来場いただきました、ゲストの皆様、お客様、まことにありがとうございました。