第29回映画祭TAMA CINEMA FORUM
特撮アクション時代劇『BLACKFOX: Age of the Ninja』の東京初となった上映に、開場前から多くのお客様が行列を作ってご覧になり、上映後は坂本浩一監督、主演の山本千尋さんをお迎えしてのトークを開催しました。
本作で初主演となった山本さんに坂本監督は、「演技力、アクション含め、山本千尋は、常に僕が撮りたいと思っていることを提供してくれる女優」と明かし、様々な初挑戦を要求したとのことです。山本さんは得意な中国武術を封印し、今までやってこなかった組手や二刀流、カリ(フィリピン武術)などを特訓し、逆に相手になった藤岡麻美氏の演じる中国武術に苦戦、現場で次々と変わる複雑な殺陣にパニックになりながらも頑張ったと語りました。
日本で活動して今年で10年という坂本監督は、今作でずっとやりたかったという時代劇に初挑戦し、様々なこだわりやオマージュを込めていることを語りました。「特撮アクション時代劇ではあるが、なんでもありの荒唐無稽なものにはしたくなかった」として、坂本監督が子供の頃に夢中になった『魔界転生』や『伊賀忍法帖』などの生身アクションの迫力を出した正統派時代劇を目指しながらも、特撮的な演出を取り入れた、「正統派時代劇のちょっと先を行く」作品を目指したとのことです。撮影現場では、これまで様々な時代劇に携わってきた京都の職人肌のスタッフとの撮影は全てが新鮮で、また坂本監督やキャストたちによる特撮の撮影方法が京都のスタッフには初めてのことで、それぞれのノウハウがかみ合ったからこその面白い画が撮れたと振り返りました。
山本さんは、どちらかというと特撮の現場だけど、風景は本格時代劇。初めての忍者役だけど、変身シーンもあり普通の忍者役とは違う、皆が挑戦していないことに挑戦できたと胸を張って言えると語り、BLACKFOXへの変身シーンにも坂本監督の並々ならぬこだわりを感じたそうです。衣装の装着を細かく指示して『ランボー』や『コマンド―』の武装シーンのオマージュを山本さんにやって欲しかったと坂本監督。また山本さんは、変身していてもマスクから目が映るように撮られているなど、自分がアクションしていることが分かる演出から、坂本監督の愛を感じたそうです。
アクションシーンの撮影で坂本監督は、山本さんに「世界で通用する本物のアクションスターになって欲しい」からこそ妥協せずに普段の撮影より厳しく行ったとのことです。坂本監督の師匠であり、今作に出演している倉田保昭氏の教え通り「実際に当てるアクション」を実践。山本さんも、初めは怖くて当てることが出来ずに何度もNGを出し、その度に監督の「当てろ!」の声が響き、キャストみんながアザだらけになりながらやったからこその迫力が出せたと語りました。
お客様とのQ&Aでは、坂本監督が女性を綺麗に撮る秘訣への質問がありました。坂本監督は、本当に女優に惚れることが大切で、自分の好きな人は綺麗に撮りたくなるとして、美しく撮るためのレンズの種類や角度、照明についてはアクション以上にこだわっていると語り、山本さんは極寒の撮影だったのに「何故か衣装の布の面積が足りない」と突っ込んで笑いを誘いました。最後には「そんな坂本監督の愛のおかげで初主演が出来たからこそ、続編がやりたい」と山本さん。坂本監督も続編はやる気満々で、反響次第では続編もあるとのことで、会場からは大きな拍手が起こりました。熱い特撮、アクション、時代劇への愛が溢れる作品と、お二人のトークで熱気に満ちた会場になりました。続編、期待しています!
トークの様子はYouTube「BLACKFOXチャンネル」にて配信中!こちらも是非ご覧ください。
『BLACKFOX: Age of the Ninja』東京初上映! | 第29回映画祭TAMA CINEMA FORUM