第29回映画祭TAMA CINEMA FORUM
日本映画界に新風を送り込む新しい才能の発見を目的として、2000年よりスタートした若手作家のコンペティションTAMA NEW WAVE。30分から100分の中・長編作品を対象としている本コンペティションですが、第20回目の本年度は、全国から集った応募作品147作品のなかから実行委員による一次審査、二次審査を通過したコンペティションノミネート6作品が上映され、各賞を競いました。
授賞式の最初の発表、観客投票で決定するベスト男優賞には『旅愁』主演の朱賀さんが選出されました。「初めての演技で初めての映画だったのですが、これからも映画について頑張って行きたいと思います」と、今後の抱負を語っていただきました。
続いて発表されたベスト女優賞は、『春』主演の古川琴音さんが受賞されました。撮影スケジュールの都合で、当日のご来場が叶わなかった古川さんでしたが、『春』の大森歩監督からは「学生時代から舞台をやられていて、映像は私の映画が初めてだったのですが、そこから一年で目まぐるしく活躍をしています。皆さまもぜひ、琴音ちゃんを応援してください」と、祝福のコメントを寄せていただきました。
プロの視点から選出される特別賞は、ゲストコメンテーターの今泉監督から「自分が映画で大切にしている“寂しさ”や“個人的なこと”が描かれていて、エンタメ性もあった。ものをつくることへのリスペクトも非常に感じて、選ばせていただいた」と。ユーロスペース支配人・北條誠人さんから「PFFでのグランプリとかぶってしまってよいのかなとも思ったが、良いものは良いと胸を張って選ばせていただいた」と推薦された『おばけ』(中尾広道監督作品)が受賞となりました。
実行委員票とコンペティション当日の一般審査員票で決定するグランプリには、呉沁遥監督の『旅愁』が選出。中国人の男女三人が日本で繰り広げる恋愛模様を描いた本作ですが、当日には監督と一部キャストの皆さまに中国からご来場いただきました。本作が初めての演技だったという王一博さんは「ちょうど去年のこの日がクランクアップでした。いい思い出を作ってもらえた」と、撮影当時を振り返りコメント。監督とは10年来の友人という、ヒロインを演じた呉味子さんは「映画は監督にとって人生で一番好きなものです。この賞は、彼女がいいスタートラインをきった証拠だと思うので、これからもっと素晴らしい作品に期待してます」と、監督にエールを送り、呉監督からは「次(の作品)も頑張っていきたい」と、今後の抱負を語っていただきました。