第29回映画祭TAMA CINEMA FORUM
日本に侍、そして忍者がいた時代――。 人里離れて暮らす忍者一族に生まれ育った石動律花(いするぎ・りっか)は、山中に迷い込んだ不思議な能力を持つ少女・宮(みや)と出会う。 何者かに追われる宮の身を案じる律花に反し、宮は石動家当主・石動兵衛(いするぎ・ひょうえ)に父の仇討ちを申し出る。 その矢先、根来衆(ねごろしゅう)の襲来を受け、危機に直面する律花だったが――
坂本監督、そして、さまざまな作品で“世界を救ってきた”俳優陣。特撮ファンならお馴染みの布陣であり、安定の坂本監督演出……だが、今作は一味違う。多人数の殺陣、剣戟、忍者屋敷。東映京都撮影所による本格派時代劇を舞台に、編集やVFXで誤魔化さない、本物の武術を本当に動ける俳優たちが本気で当てに行く、文字通りの体当たりアクションが繰り広げられる。そうした古き良きアクション時代劇の流れを汲みながらも、さまざまな武術の使い手たちに多様な技で対峙していく姿はカンフー映画のようでもあり、仮面を装着し“変身”して戦う姿は特撮ヒーロー的でもある。まさに、“映画の異種武術戦”が詰め込まれた作品なのだ。
今作で特徴的なのは、動きによるキャラクター付けである。物語のほとんどが戦闘シーンでも、どんな殺陣をするかによって人物が見えてくる。派手でカッコいいだけじゃない。言葉ではなく、拳と剣で物語る……これぞアクション映画!
特撮、キャラクター演出を極めた坂本監督が撮るからこそ生まれた、新たな時代劇の幕開けである!(横)
1970年生まれ、東京都出身。「ウルトラマン」「仮面ライダー」「スーパー戦隊」シリーズすべてで監督を手掛けている、日本で唯一の監督。89年に映画監督になるべく渡米。アメリカ版スーパー戦隊「パワーレンジャー」シリーズでは長年に亘り監督、プロデューサーを歴任。2009年に活動の拠点を日本に移し、「仮面ライダーフォーゼ」(11年)、「獣電戦隊キョウリュウジャー」(13年)、「ウルトラマンジード」(17年)など数々の特撮作品を手がける。
1996年生まれ、兵庫県出身。武術太極拳のジュニアオリンピック3連覇(2010~12年)の後、『太秦ライムライト』(14年)で映画デビュー。翌年のジャパンアクションアワードでベストアクション女優優秀賞を受賞。『仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴーストwithレジェンドライダー』(16年)や『そろばん侍 風の市兵衛』(18年)など特撮や時代劇に出演。『ウルトラマンジード』(17年)ではヒロインを演じ、話題となった。