第32回映画祭TAMA CINEMA FORUM
超高齢社会に邁進している今の日本にとって、尊厳死を選択することもできる<プラン75>制度が施行された近未来社会を描いた『PLAN 75』は、衝撃的であると共に多くのことを考えさせられる作品で、客席は熱心なファンで埋まりました。早川千絵監督は、尊厳死の是非を描くのでなく、こういうシステムができてしまった後の世界で翻弄される人々の姿を描きたかったと語られていました。
主人公にはこの人に生きて欲しいと思える人間的な魅力のある方に演じてほしかったので、毎日をいくつしみながら生きている倍賞さんからにじみ出る気品が素晴らしかったとも。なかには(人情溢れる)『男はつらいよ』のさくらさんに、なんてことをさせるんだという声もあったが、その落差がテーマをより浮き上がらせると考えたとのこと。海外での反響では、このような制度に従順に従う日本人が奇異に映るとフランスで言われたり、家族のつながりが強固なフィリピンではあり得ないと言われたりしたと振り返っていられました。
客席からのQ&Aでは、主人公ミチの描き方やラストシーンについてなど、お客様からの熱心な質問が相次ぎ、早川監督もお客様との交流を持てたことを喜んでいらっしゃいました。
最後に、当日急遽ピンチヒッターとして、聞き手を務めてくださった関口裕子さん(元キネマ旬報編集長)、本当にありがとうございました。