巨匠チャン・イーモウ監督の表題の2020年作品を上映し、トークでは中国映画に造詣が深い映画評論家・宇田川幸洋氏を招き、この映画のテーマともなる35mmフィルムについて熱く語って頂きました。
映画がフィルムだった時代への想い
- 現在はDCPによるデジタル全盛だが、フィルムが持つ表現力も捨てがたく、上映はDCPでもせめて撮影のためにフィルムを残してもらいたいとの想い。
- 現在でもフィルム撮影にこだわっているフランスや日本の監督がいて、その独特な表現方法を具体例で解説、音楽でもデジタルだけでなく、昔のSP盤などアナログに再び人気が戻っていると。
チャン・イーモウ監督へ
- 印象に残ったのは、中国第5世代と呼ばれたチャン・イーモウが撮影を担当した『黄色い大地』(監督:チェン・カイコー)を思わせる圧倒的な砂漠のシーンやラストに流れる民謡だった。映画へのこだわりは、最初は撮影をし俳優としても出演した経験が生かされている。
- 出演のリウ・ハオツンは新人でこの映画に満を持して熱演した。この監督は新人の発掘がうまいと定評がある。
フィルム全盛時代の撮影や上映
- 野外上映会を学校の夏休みの夜に経験した。しかし、この映画のスクリーンの裏側から映画を観るシーンは初めてだった。
- ヒットした日本映画の中で、フィルム缶を自転車で運ぶ途中、落としてフィルムが路上に飛び出すシーンがあったが、砂漠ではなく舗装道路の上だった。
- 当時一本の映画は複数のフィルムに分かれていて、2台の映写機を操作して連続してスムーズに上映するテクニックを誇る人もいた。今でも青梅で35mmで上映している映画館もあるそうだ。
この映画を初夏の頃観て、ぜひ皆様にも観て欲しいと思い企画し上映にこぎつけました。ご登壇いただいた宇田川幸洋様、司会の実行委員・陳 舟さん、そしてご協力いただいた関係者のみなさま、誠にありがとうございました。
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