第32回映画祭TAMA CINEMA FORUM
2022年5月15日、沖縄は本土復帰50年を迎えました。「沖縄」と聞いてイメージするのは、美しいビーチ、癒しの島。しかし、この作品にはそのような映像は出てきません。70年代、本土復帰直前、ベトナム戦争特需に湧く沖縄コザでうごめくアメリカ世に生きるコザの人々の熱狂や憤り、そして悲しみ……。そんな世界に現代からタイムスリップした若者は、映画を観る私たちの目線そのもののような気がします。泣き、笑い、歴史を振り返り、考えさせられる作品を観た後は、平一紘監督に進行をお任せして軽快なトークが始まりました。
玉代㔟圭司さんは、また東京で皆さんに会える喜びをかみしめ、感謝しているとおっしゃり、平監督は、2014年のTAMA NEW WAVEで初の長編映画で平隆人さん主演の『アンボイナじゃ殺せない』が同じ場所で上映されてから8年ぶりにTAMA映画祭に戻ってくることができ、感慨深いとおっしゃったあと(*注)、撮影時のエピソードに話題が移ると、南里美希さんがクランクインしたときのアウェイ感に戸惑ったことや一緒に食事や話をする機会も少なく、もっと皆さんと仲良くしたかったというコロナ禍ならではの撮影時の切なさを語っていました。
今回の作品の舞台となったコザの街は、どんどん形が変わっていくというようなラストだったけれども、現在のコザもまた変わりつつあるので、早くコザに遊びに来てほしいと平監督。また、一番印象に残っている撮影は、「マーミーの歌」を歌うシーンの照明やカメラのセッティングは想像以上だったことやロケ地が急に変更されたことに臨機応変に対応できたのは、商業映画ならではのチームワークだったと思い返していらっしゃいました。玉代㔟さんが印象に残ったシーンを話していると、客席にいた山代役の渡辺光さんを発見。サプライズで登場していただき、桐谷健太さんと初めての共演で思い出に残る作品になったとコメントしてくださいました。
トークの後半はSNSで募集した質問、感想、メッセージを紹介。劇中歌の「マーミーの歌」が、宮沢和史さんのサウンドプロデュースによって、「遣らずの雨と、光」としてリリースされた経緯については、製作側から提案があり、劇中歌の作詞(1番のみ)で完結していたので、あとはお任せすると伝え、「作詞:平一紘・もゆる」の連名になったこと、そして、コザ騒動のシーンでカチャーシーを踊る女性の映像を入れたのは、実際に当時、炎の中でカチャーシーを踊っているおばあさんの写真があり、その事実をもとにあの映像を入れたことなどが明かされました。ミラコザファンの方からは何度となく映画館に足を運んだという呟きや監督、出演者の皆さんへの感謝のメッセージなども寄せられました。
最後に南里さんは、映画の舞台のコザの出身で馴染みのある景色を眺めながら撮影に臨んだことが本当に思い出深く、本編以外の未公開の特典映像がたくさん入っているDVD、Blu-rayもぜひ観てほしいとご挨拶。平隆人さんからは、また兄弟でTAMA映画祭に戻ってこられるよう頑張るので、応援してくださいとおっしゃると、会場からは大きな拍手が。玉代㔟さんは、今年は復帰50年ということで、この作品をきっかけに沖縄に興味を持ち、沖縄の歴史に触れたりして、より沖縄を好きになって、沖縄に遊びに来てほしいと呼びかけ、平監督は、この作品を本当に大事にして次に繋げることが僕の仕事だと思っているので、今後の活動を見守り、応援してほしいと結びました。そして、最後はトーク中のリクエストに応え、平兄弟による “ごきげんダンス” が披露され、温かな拍手と笑いに包まれながら幕を閉じました。
何度もご覧になる熱烈なファンの多い作品ですが、今回は『ミラクルシティコザ』を初めてご覧になったという方もいて、「また観たい」、「沖縄に行きたくなった」という感想も寄せられました。ご来場の皆さんには、『ミラクルシティコザ』のロケ地マップと沖縄市の観光ガイドブック「沖縄市GO」を贈呈。会場ロビーには、TAMA映画祭で過去に上映された沖縄にフォーカスした作品のパネルとその年のパンフレット、多摩市平和展のベトナム戦争に関連するパネルも展示しました。
今年の映画祭で沖縄の映画を上映したい、上映するなら『ミラクルシティコザ』しかないと企画を練り、英語字幕版で上映することができました。関係者の皆さまに深く感謝するとともに、ご来場の皆さま、ゲストの皆さまに深く御礼申し上げます。にふぇーでーびる! ありがとうございました。
沖縄本土復帰50年と『ミラクルシティコザ』 ~沖縄の歴史と映画と音楽と~ | 第32回映画祭TAMA CINEMA FORUM
『沖縄本土復帰50年とミラクルシティコザ ~沖縄の歴史と映画と音楽と~』トークイベント | 映画祭TAMA CINEMA FORUM公式チャンネル