第32回映画祭TAMA CINEMA FORUM
日本映画界に新風を送り込む新しい才能の発見を目的として、2000年よりスタートした若手作家のコンペティションTAMA NEW WAVE。第23回目の開催となった本年度は、過去最多となる205本の応募作品より、実行委員の一次審査、二次審査を通過したコンペティションノミネート作品6作品が上映され、各賞を競いました。
ベスト男優賞は『はこぶね』の主演・木村知貴さんが受賞となりました。2016年の第17回TAMA NEW WAVEコンペティションにおいて『トータスの旅』(永山正史監督作品)でベスト男優賞を受賞し、今回で2度目のベスト男優賞受賞となる木村さんは、受賞後のコメントにて「TAMA NEW WAVEのなかで古い波になっているかもしれないけれど、映画祭で新しい波とぶつかって新たな波が生まれるのがTAMA NEW WAVE。これからもこれを糧に頑張っていきます」と、語られました。
ベスト女優賞は『MY HOMETOWN』主演の空花さんが受賞。「映画の感想を伝えること」を、これまで苦手にしていたものの、今作を通じて、いろいろな人から感想をもらう嬉しさを知り、映画を通した交流の大切さを感じたという空花さんは、「“映画は人を変えてくれる”と思った映画で受賞できたことがすごく嬉しいです」と、喜びを語られました。
ゲストコメンテーターが選定する特別賞は今井ミカ監督の『ジンジャーミルク』が受賞。本年度のゲストコメンテーターの安川有果監督は「(ろう者・セクシュアルマイノリティといった)扱っているテーマで選んだと感じられるかもしれませんが、純粋に映画としての面白さで選ばせていただいた。映画で描かれている内容が刺さった」とコメント。もうひとりのゲストコメンテーター小原治さんは「観終わったあとに心のなかに残り続ける映画でした。(映画のなかの)この人たちにまた会いたいなと思える映画でした。素晴らしかったです」と、コメントを寄せていただきました。
ろう者と聴者の4人の大学生の人間ドラマを描いた『ジンジャーミルク』を監督し、ご自身もろう者である今井監督は「手話に文字はありません。そのため、手話を残す方法は映像ということになります。私にとって映像・映画とは人生と深く関わっている大切なものです。今回受賞したことを大切に胸に刻んで、また新しい映像制作に邁進していきたいと思います」と、今後の抱負を語られました。
実行委員票と一般審査員の投票により決定するグランプリには、大西諒監督の『はこぶね』が選ばれました。製作時には完全にキャパオーバーとなってしまい、周りには大変迷惑をかけたという大西監督でしたが、そんななかでも「自分の興味関心・個人的なものにのっとって作っていくんだということを貫けたこと」が作品の出来上がりに結実したとのことで、今後の映画製作でもその姿勢を貫いていくこと、この『はこぶね』という作品をより多くの方にみていただけるよう努めることを決意として語っていただきました。
第23回TAMA NEW WAVEコンペティション | 第32回映画祭TAMA CINEMA FORUM
第23回 TAMA NEW WAVE コンペティション ゲストコメンテーターVS監督 / 受賞式 | 映画祭TAMA CINEMA FORUM公式チャンネル