第32回映画祭TAMA CINEMA FORUM
『銀平町シネマブルース』は、本プログラムが日本初、いや世界初のプレミア上映です(2023年2月に一般公開予定)。上映のあとは、城定秀夫監督、脚本のいまおかしんじ氏、主演の小出恵介氏、出演の日高七海氏をお迎えし、映画評論家の森直人氏の司会により笑いの絶えない賑やかなトークが催されました。
ゲストの皆さんがさかんに語られたのは、まず映画への愛。森氏は本作を「サンクチュアリのようだ」と評し、小出氏は「スタッフ・キャストの映画好き合戦のような現場だった」と語っていました。
それから、映画館への愛。いまおか氏は本作の企画の出発点をお話しくださいました。「コロナ禍で苦境に立つミニシアターを応援し元気の出る映画を創る。クリーンなばかりだと息が詰まる。だからミニシアターや名画座は必要なのだ。」これを受けて小出氏は、高校3年の時にミニシアターに通いつめることで自分を探し続けたことを話されました。
そして、映画創りへの愛。いまおか氏は「城定監督の映画では捨てキャラがなく、みんな楽しそう」と話されます。それを裏付けるように、小出氏は「撮影では最初からみな登場人物のキャラが完成されていて、空気感が出来上がっていた」、日高氏は「初日の感じがしなかった。それだけ脚本を信頼していた」と語ります。日高氏は完成試写で号泣したこと、なかでも小出氏と渡辺裕之氏(映写技師)とのダンス場面が心に残ることもお話しされました。
ほかにも、物語の中心となる作品になぜ『カサブランカ』を選んだのか、映画で語られる「100円頂戴おじさん」の話は日高氏の実体験だったこと、映画中映画である「はらわた工場の夜」や「監督残酷物語」の誕生秘話など、楽しい話題が満載の40分でした。
トークの後、ちょうど客席で作品を鑑賞されていた出演者の宇野祥平氏が舞台に上がり、「映画っていいですね」の一言でプログラムを締めくくってくださいました。