第32回映画祭TAMA CINEMA FORUM
今年公開されたオードリー初のドキュメンタリー映画『オードリー・ヘプバーン』と、12年間の夫婦の軌跡を描いたロードムービー『いつも2人で』を上映しました。作品の上映後は、「それでもあなたは美しい~オードリー・ヘップバーンという生き方」「オードリー・ヘップバーンの言葉」を出版されている作家の山口路子さんをお招きしてオードリーの魅力をさらに深堀しました。
まず話題は、『オードリー・ヘプバーン』と『いつも2人で』の感想から。「とても素晴らしかったです。私が本の中で伝えたかったオードリーの姿と似ていると感じて激しく共鳴しました。オードリーが愛に飢えていたということに焦点が当てられていて嬉しい驚きでした。国連で自分の言葉でスピーチする姿が映像で観られる貴重な機会です。また、20代の監督がこの映画を撮ろうと思ったことが驚きと希望を感じました」
『いつも2人で』については、「観る年代によって刺さる部分が変わる作品。「私たちって倦怠期よね」って毎日話している夫婦はいません。お互いに興味をもって、関係性の変化をお互い楽しんでいるじゃないかと思っています」
そして、撮影時のオードリーの話へ。「撮影当時オードリーは38歳。永遠の妖精という可愛いイメージから変わるために挑戦した作品でした。それまでイメージを守るため避けてきた水着シーンやベッドシーンに、オードリーも周りのスタッフも挑戦していいと思える時期だったのです」そして私生活ではメル・ファーラーとの結婚生活が破綻していた時期。実生活でまさに映画と同じ状況だったオードリーが、どんな思いで台詞を言っていたのか考えてしまうとお話してくださいました。
オードリーの人生で胸打たれた部分について、「ユニセフに出会い58歳で自分の使命に気付いたということに希望を感じた。容姿にコンプレックスを抱いていた人が気にしなくなる、人前に出て語ることが苦手だった人が国連でスピーチをする、出かけるのを億劫がっていた人が世界中を飛び回る、信念に気付いたとき人はこんなに変われるんだと驚いた。謙虚なオードリーが「私のために存在している」と話せる人と出会った。諦めずに愛を求め続けたことが報われたことを嬉しく思います」
オードリーが伝えたかったこと、そして山口さんが「伝える」ということをどのように考えているかについて。「オードリーの容姿の美しさは普遍的なもの。きらびやかな姿を見せる写真展が今でも開催されています。オードリーの美しさに魅了されて人が集まる、そこに来た人がユニセフや地球環境に興味をもつ。「自分がなぜ有名になったかわかった」というオードリーの言葉に繋がると思います」
オードリーが話した言葉を用いながらひとつひとつ丁寧にお話してくださり、濃密な時間を過ごすことができました。ご登壇いただいた、山口路子さんをはじめ、本プログラムに関わってくださった関係者の皆様、そして、ご来場いただいたお客さまに心より感謝いたします。