第33回映画祭TAMA CINEMA FORUM
多摩市立永山公民館(ベルブ永山)
多摩市立関戸公民館(ヴィータコミューネ)
パルテノン多摩 2階 総合案内窓口(パルテノン多摩が会場の【B-1】〜【B-7】チケットのみ取扱い)
不治の病により余命僅かであることを知った34歳の青年・ルイは、長年会うことを避けてきた家族の元へ帰郷する。病を打ち明けようとするルイだが、次々と語りかける家族たちは話す隙を与えない――。
グザヴィエ・ドラン監督が映画化したことでも話題を呼んだ作品を故・蜷川幸雄氏の元で育った俳優たちを中心とした演劇企画ユニット、第7世代実験室が藤原季節を迎え映像化しました。
時は2020年10月、コロナ禍で閉鎖された劇場に俳優、スタッフが集い、一回限りの無観客上演が行われます。1台のカメラで収録された1時間50分ワンカットの会話劇は、オンライン配信され視聴者を驚きと感動の渦に巻き込みました。映像は舞台上の俳優たちの間だけでなくスタッフの様子も含め、全体を映し出すという斬新な手法で、ようやく社会が落ち着きを取り戻そうとしている今、改めて観ると当時の社会情勢に抗(あらが)う演劇人たちの心の叫びのようにも聞こえてきます。満を持して今年9月に劇場で初上映された本作。舞台ならではの緊張感、没入感のある映像と彼らの熱量を大きなスクリーンで感じてください。(WB)
楠稔(25歳)は、コンビニでアルバイトをしながら東京で一人暮らしをしている。夢や目標があるわけじゃない。淡々と過ぎ去る日々をただ眺めている。ニートの小田岳広(25歳)は稔の家に用事もなく遊びに行く日々を過ごしている。ただ時間を消化するだけの日々に罪悪感を覚えないわけではない。いつものように稔の家に遊びに行くと、そこには家出をした道野桜子(17歳)がいた。なかなか家に帰ろうとしない桜子をなんとか家に戻そうと奮闘する二人だが……。
知る人ぞ知る映像制作集団、Engawa Films Project(通称:エンガワ)による初長編の新作映画で、第31回映画祭のパンフレットで藤原季節さんがQ&Aで答えていた作品です。多摩のイメージや思い出についての質問に対し、20代前半のころ多摩市に住んでいたこと、お気に入りは聖蹟桜ヶ丘から永山、多摩センターの周辺、緑も丘も夕日も美しくて好きな街と……。
素の自分が映る日記のような映画で当時の自分たちにしか撮れなかった作品という藤原さん。地元の方々、多摩を知る人たちにとって見慣れた場所、懐かしい景色などがスクリーンに映し出されます。そして若者たちが迷い悩んでいる姿は、今あるいは過去の自分自身や身近な誰かと重なり、時に切なく、時に優しく温かな気持ちになることでしょう。(WB)
1993年生まれ、北海道出身。映画『人狼ゲーム ビーストサイド』(2014年)で本格的に俳優活動をスタート。主な映画出演作に『ケンとカズ』(16年)、『全員死刑』(17年)、『止められるか、俺たちを』(18年)、『his』『佐々木、イン、マイマイン』(いずれも20年)、『のさりの島』『くれなずめ』『明日の食卓』『空白』(いずれも21年)『わたし達はおとな』(22年)『少女は卒業しない』(23年)等。待機作に『辰巳』(24年公開予定)などがある。第13回TAMA映画賞 最優秀新進男優賞受賞。
蜷川幸雄主宰「さいたまネクスト・シアター」2期生。同劇団公演「カリギュラ」「リチャード二世」ではそれぞれ主役を演じる。解散後、有志による演劇企画ユニット「第7世代実験室」立ち上げ。主な出演作に蜷川幸雄演出「ハムレット」「NINAGAWAマクベス」「太陽2068」ノゾエ征爾演出「ベンバー・ノーその意味は?」「ピーター&ザ・スターキャッチャー」藤田貴大演出「CITY」「cocoon」、NHK大河ドラマ「麒麟がくる」、映画『猫は抱くもの』など。
蜷川幸雄主宰「さいたまネクスト・シアター」旗揚げメンバー。解散後、有志による演劇企画ユニット「第7世代実験室」立ち上げ。主な舞台出演作に、蜷川幸雄演出「海辺のカフカ」「NINAGAWAマクベス」、藤田俊太郎演出「東京ゴッドファーザーズ」、岩松了演出「薄い桃色のかたまり」のほか、ドラマ「真犯人フラグ」「24JAPAN」「この素晴らしき世界」、Netflix「火花」、映画『山女』など。
1984年生まれ、神奈川県川崎市出身。高校時代を単身アメリカのニューヨーク州で過ごす。独学で映像制作を学び始め、演劇ワークショップで出会った仲間4人でEngawa Films Projectと称し、短編映画や実験映像を作り続けてきた。その後1年間フランスのパリで個人的な映像制作活動を行なう。帰国後、俳優藤原季節との再会で映画『東京ランドマーク』を制作する。