第33回映画祭TAMA CINEMA FORUM
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ポルトガル・アレンテージョ地方、土で覆われた2つの大きな窯。1人の男がここで炭を焼く。世界を形作る火、水、風、地、空の要素は大地のリズムを映し、呼吸し、寿ぐ。『丘陵地帯』『レイテ・クレームの味』に続く鈴木=トレス共同監督3作目、2018年リスボン国際ドキュメンタリー映画祭・国内映画部門にて最優秀賞を受賞。
鈴木仁篤監督とロサーナ・トレス監督が出会ったのはポルトガル南部のアレンテージョ地方で行われた映画のセミナーで、トレス監督が住むアレンテージョ地方をあちこち一緒に探訪する中でふたりの共同作業が始まった。
シンプルに「見つめていたいものを、撮った」作品のように思えるが、誰でもこのように撮れるものではない。トレス氏が録った音の存在感も大きい。
『TERRA』に触れた方はぜひ前作『丘陵地帯』、『レイテ・クレームの味』も味わっていただきたい。3本を通して見えてくるものがある。(ゆ)
赤坂太輔:普通このような作業を撮影する映画ではクローズアップが多いですが、この映画では全く使われていませんし、それどころか固定のロングショットで作業が見えないくらい遠くから撮っている画面がたくさんあります。こうした撮り方をしようと思った理由を監督から説明してもらえますか?
鈴木仁篤:私たちは規則には従いません。私たちは早朝から夕暮れまで、同じ場所で一日中撮影を行うことがよくあります。その間、光はつねに変化しています。私にとって炭窯は非常に謎めいたものなので、その謎をありのままに尊重したかったのです。イメージの構図は自ずと立ち上がってきました。
ロサーナ・トレス:この映画は炭作りについてのドキュメンタリーではありません。このことが、映画のタイトルに「炭」を入れず、ただ「Terra」としたひとつの理由です。このタイトルはポルトガル語のこの単語が担う様々な意味と結びついています。「Terra」とは我々が歩く大地であり、作り変えられる土であり、我々が住む場所であり、我々の世界の名でもあります。そしてアレンテージョでは次のように歌われます。「私は大地に借りがある/大地は私に借りがある/大地は生をもって私に償う/私は死をもって大地に償う」
インタビュアー : 赤坂太輔
回答の英語訳からの日本語翻訳:新谷和輝
両親の政治亡命中にルーマニアで生まれる。幼少の頃ポルトガル中部に住む祖父母のもとで暮らし、その後リスボンで映画を学ぶ。1994年からアレンテージョ地方メルトラに住み、子供や若者のために映画やアニメーションのワークショップを開催している。映画制作や教育活動を目的としたアソシエーション ENTRE IMAGEMを設立して、鈴木仁篤と3本の映画を制作。『TERRA』は2018年リスボン国際ドキュメンタリー映画祭・国内映画部門にて最優秀賞を受賞。
京都生まれ。独学で映画を学ぶ。数年間の沖縄滞在中、写真を撮り始める。視覚的・芸術的センスを磨くことを目的にヨーロッパを放浪、ポルトガルでロサーナ・トレスと出会い、映画を撮り始める。彼女との初監督作品『丘陵地帯』はロカルノ、トロント、ウィーン国際映画祭などで上映された。『TERRA』は2018年リスボン国際ドキュメンタリー映画祭・国内映画部門にて最優秀賞を受賞。
<鈴木仁篤監督&ロサーナ・トレス監督 フィルモグラフィ>
2009『丘陵地帯』(共同監督)
2012『レイテ・クレームの味』(共同監督)
2018『TERRA』(共同監督)
京都生まれ。独学で映画を学ぶ。数年間の沖縄滞在中、写真を撮り始める。視覚的・芸術的センスを磨くことを目的にヨーロッパを放浪、ポルトガルでロサーナ・トレスと出会い、映画を撮り始める。彼女との初監督作品『丘陵地帯』はロカルノ、トロント、ウィーン国際映画祭などで上映された。『TERRA』は2018年リスボン国際ドキュメンタリー映画祭・国内映画部門にて最優秀賞を受賞。
<鈴木仁篤監督&ロサーナ・トレス監督 フィルモグラフィ>
2009『丘陵地帯』(共同監督)
2012『レイテ・クレームの味』(共同監督)
2018『TERRA』(共同監督)
映画批評家。2003年よりシネクラブ&ウェブサイトであるNew Century New Cinemaを立ち上げ、世界の日本未公開作品や作家の紹介上映活動をおこなう。著書「フレームの外へ──現代映画のメディア批判」(森話社) http://www.ncncine.com