第33回映画祭TAMA CINEMA FORUM
多摩市立永山公民館(ベルブ永山)
多摩市立関戸公民館(ヴィータコミューネ)
パルテノン多摩 2階 総合案内窓口(パルテノン多摩が会場の【B-1】〜【B-7】チケットのみ取扱い)
日本統治下の朝鮮で、日本軍の虐殺を目撃した教師の澤田(井浦)は、職を辞し故郷千葉県福田村に妻・静子(田中)とともに帰ってくる。そして、讃岐の新助(永山)率いる行商団は福田村に入り、関東大震災に遭遇する。在郷軍人会と村人たちは朝鮮人狩りの最中に讃岐弁を聞いて朝鮮人と疑い、襲いかかり虐殺してしまう。
のどかな大正時代の日本の風土のなかで描かれる悲惨な事件と、その背景となった日本社会の矛盾を焙(あぶ)り出した。震災直後に朝鮮人や社会主義者などが暴動を起こしたというデマに煽(あお)られ、各地で自警団による虐殺が起こった意味を問うている。今の社会の底流として、群れる人間は異質なものを排除する傾向がある、その一端はイジメに表れている。さらに、被害者として描かれる讃岐の薬売りの行商団は被差別部落民であり、社会からも差別を受けている。
その差別、因習の残る村社会で主導権を握る在郷軍人会や警察官に煽られ、村八分を恐れる村人たちの姿は、一人では出来ないことを群れるととんでもないことを仕出かす人間の怖さを表している。事件を主導した在郷軍人会のメンバーは朝鮮人を殺したこともあり、いずれ報復されるとの怯えが虐殺に繫がった。同時に、自警団の朝鮮人狩りの実態や、警官の労働運動者の虐殺、新聞社の大勢に流される様子なども描いている。(勝)