第27回映画祭TAMA CINEMA FORUM
夢追い人が集まる街、ロサンゼルス。映画スタジオ内のカフェで働きながら女優を目指すミア(E・ストーン)と、自分の店を持ち、好きな音楽を好きなだけ演奏したいと夢見るセブ(R・ゴズリング)もここで最悪な出会いを果たす。二人は何度も偶然に会ううちに惹かれ合い、互いの夢を支え合うようになるが、セブが店の開店資金のために加入したバンドが成功したことから、二人の思いはすれ違いはじめる。
ロサンゼルスの高速道路の大渋滞から始まる本作。「Another Day Of Sun」が流れ出したその時から、私はこの映画に心奪われた。曲が終わり、画面いっぱいにタイトルが出た瞬間、思わず映画館で拍手をしそうになった。次々と流れてくる音楽と、物語に彩りを添える、登場人物のカラフルな衣装。それだけでもうワクワクが止まらない!
お互いの夢を応援し、支え合っていたミアとセブが、少しずつ自分の夢の実現のためにそれぞれが動き出していくところに引き込まれた。自分の夢か大切な人の夢か――どのような選択をしても間違いではないけれど、夢は叶えることよりも諦めることの方が難しいということを感じた。
音楽を堪能することで何度も楽しめるのがミュージカル映画の醍醐味だろう。大きなスクリーンで観て、さあ、あなたもLA LA LANDへ。(瑞)
生まれたインドで長距離列車に迷い込んで完全な迷子となってしまったが、縁あってオーストラリアの夫婦に養子として迎えられ、大学生になったサルー(D・パテル)。彼は進学先で出会ったルーシー(R・マーラ)らとの交流のなかで、離れ離れになっている家族や故郷への想いと向き合い、検索を駆使して25年前の自身の足取りを探っていく。
単なる「感動の実話」や「奇跡の物語」に終わらせないメッセージ性を感じて、熱いものがこみ上げてきた。25年間、一時も忘れることなく抱えながら、成長とともに育んできた想いに触れて、愛情の尊さについて思いをめぐらせた。インドの人口増加と急速な経済成長には目を見張るものがある一方、格差や貧困などの課題が多いのも実情だろう。文字通りの生存競争のなかで、子どもたちが厳しい状況に置かれやすいことから目を背けてはいけないはずだ。
これからも、あらゆる情報が蓄積・活用されていく。プライバシーやセキュリティなどへの懸念もいわれているものの、利便性は大きく向上し、世界の問題解決力は高まっていくだろう。本作に登場するGoogle Earthは、買い替える必要のない地球儀だ(なんと宇宙空間も“探索”できる!)。
主演のD・パテルの映画デビュー作『スラムドッグ$ミリオネア』(ダニー・ボイル監督)を思い起こすような疾走感あふれるシーンが個人的には嬉しかった。次は彼を通してどのような物語に出会えるだろうか。とても楽しみだ。(渉)