第27回映画祭TAMA CINEMA FORUM
保育(1歳以上)は先着10名です。上映前日の17:00までに下記フォームまたは事務局(080-5450-7204)までお電話にてお申込ください。
※保育申込フォームは保育のみの取扱いです。チケットは別途お求めください
ある日突然母親が家出をしてしまい、11歳のトモ(柿原)は独りきりで叔父のマキオ(桐谷)の家に向かう。マキオは恋人リンコ(生田)と生活していた。トランスジェンダーのリンコは、母以上に自分に愛情を注ぎ、家庭の温もりを与えてくれる。そんなリンコの存在に惑いながらも、3人での奇妙な共同生活が始まった……
本作は、第67回ベルリン国際映画祭パノラマ部門、ジェネレーション部門で上映され、テディ賞(LGBTを扱った作品に授与される賞)を受賞した初の邦画作品である。そう箔が付くと身構えてしまうが、この作品では「特別」を描いてはいない。さまざまな登場人物がそれぞれの考え方を、「普遍的」に悩んでいく。やたら悲劇的に描いたり、声を荒げて感情をぶつけ合う姿は抑えられ、落ち着いたテンポで、明るく進行する。描かれるのは普遍的な家族のありよう、親子、愛の物語だ。だからこそ観る側も「本気」で向き合い、力まず自然に登場人物たちと人生を「編む」ことができる。
ジャニーズ事務所所属である生田斗真が、トランスジェンダーを演じることが話題となった本作だが、話題性のみならず、登場人物それぞれの自然な演技に引き込まれていく。そして、料理、桜、編み物、下ネタでさえも、映るものすべてを魅力的に映した温かみのある演出がそれを包み込む。気持ち良く笑って泣けて、テーマが響く作品だ。(横)