第27回映画祭TAMA CINEMA FORUM
11/25(土)に開催される第18回TAMA NEW WAVEコンペティションにおいて、当日ノミネート全7作品を観賞し、グランプリ作品に投票する一般審査員を募集いたします。一般審査員の詳細・応募方法についてはこちらのページ にてご確認ください。
「9月20日。晴れ。目に見えない部分だから気になるのかな。最近「こぶ」の中身についてよく想像をふくらませてる。学校に行く道でも、お風呂に入っていても、夜に眠れないときも、ずうっと考えちゃう。だって「こぶ」の中身がわかれば、他のことについてもわかるような気がするんだ」 中学1年生の光子とクラスメイトの首にできた「こぶ」をめぐる小さな成長物語。
誰もが小さな頃に「宇宙ってなんだろう?」「死ぬってなんだろう?」「この気持ちは何て言うのだろう?」と、未知なるものに惹かれ、思いを馳せることがあったと思います。私は、大人になった今でも、その感覚を小さく持ち続けることが、私たちの生をビビッドにする気がしています。この作品が、そうした感覚を「忘れないようにたまに思い出す」きっかけになったら良いなと思います。
1991年生まれ、神奈川県出身。立教大学映像身体学科の卒業制作『みちていく』(2014年)は第15回TAMA NEW WAVE でグランプリ・主演女優賞を受賞し、全国で劇場公開。東京藝術大学大学院の修了制作『みつこと宇宙こぶ』は第11回田辺・弁慶映画祭に入選。最新作は第30回東京国際映画祭のオールナイトイベント「ミッドナイト・フィルム・フェス!」内の上映企画「SHINPA vol6. in TIFF」で上映の『渦』。
とある高校の2年生のクラス。ある日、唐突に「LGBTについて」の授業が行われた。しかしその一方、他のクラスでその授業は行われていなかった。それを受けて生徒たちに疑念が生じる。「うちのクラスにLGBTの人がいるんじゃないか?」生徒らの日常に波紋が広がっていく。
LGBTをテーマとした映画は多く存在します。しかしその多くが「LGBT当事者の葛藤/苦悩」を描いたものであり、「当事者とどう向き合えば良いか」という点について描いた作品はほぼ無いように思います。本作では当事者をメインとして描くのではなく、それを取り巻く周囲の人間を中心に描くことで、「どう向き合えば良いか」「社会はどうあるべきか」という点について言及していきたいと考えています。
1987年生まれ、東京都出身。大学卒業後、イベントの制作会社にて勤務。退職後、ニューシネマワークショップにて映画製作を学ぶ。現在はフリーランスのイベント/映像ディレクターとして活動中。
とある秋の夜。小劇団所属のフリーター・アヤコは舞台オーディションに落選した憂さを晴らそうと親友・ミキと小洒落たバーにいた。ミキの婚約話を肴に酒席が盛り上がる最中、アヤコの“破局寸前”の彼氏でAV監督の辰夫が呼んでもいないのに姿を現す。空気の読めない辰夫によって険悪なムードに陥る3人。やがてミキが去り、泥酔したアヤコと辰夫は互いの不満を罵詈雑言と共に吐き出していく……。
制作当初はラブストーリーだったはずの今作ですが、そもそも恋だの愛だの漠然としたものに懐疑的というか舌打ちする程度の苛立ちを覚えていたことを忘れており、自ずとシナリオを書き進めていくうちに、「男と女の恋煩い」が「ルーザー同士の泥仕合」に変貌していきました。今は清々しい気持ちで一杯です。
1988年生まれ、千葉県出身。映画美学校 13期フィクションコース初等科修了後、映画制作チーム「楽しい時代」を結成。監督作『BAD SAMURAI FOREVER』(13年)、『さいなら』(15年)、『さいなら、BAD SAMURAI』(16年)。
ある子が、自分の「受け口」に悩みを持っている。彼はクラスメイトに顔を見られないよう、いつもマスクをつけている。大人になったら矯正の治療をしたいが、母は反対する。父は気難しい。最近、弟は少し生意気になった。その子が昔よく遊んだ女の子は彼に近づかない。彼は仲間外れにされるのを顔の特徴のせいだと思っている。
最初の撮影から4年が経った本作が今回、上映の機会を頂けたのも、撮影に参加して頂いたキャスト・スタッフの方々のおかげです。主人公役の山本楽くん、千野羽舞さん、市原叶晤くん、キャストの存在感は大きく、多くのシーン撮影を務めて頂いた西村洋介さんの画作りは彼らの演技を支えています。闇を照らす光のような作品を目指しました。ぜひご覧ください。
1987年生まれ、東京都出身。早稲田大学を卒業後、今作の脚本を携え映画学校の門を叩く。その年に自主制作で撮影した本作はこれまで第3回ところざわ学生映画祭(旧題・Goblin)でグランプリと観客賞、カナザワ映画祭2017で小説家・平山夢明氏から審査員特別賞を頂いた。
春はまだ遠い。シンと恋人のカズ。ある日二人は喧嘩をし、傷心のあまりカズはかつての恋人に会いに行く。しかし彼には妻がいて、そしてまだカズを引きずっていた――お互いがお互いを思うほど、なぜだか愛は複雑化していく。一人残された子供のように孤独を抱えたシンと、穏やかでいながら常に熱を帯びているカズ。彼らは若くて幼くて、だからずっと、恋人の愛し方について悩んでいた。春がやってくる前の、すべての恋人たちの物語。
春みたいだ。だけど、春ではない。そんな曖昧な二人が好きだ。相手を想えば想うほど、自分と相手を傷つけてゆく。そんな矛盾が好きだ。僕とあなたは、人生の何処かでせめて、みたいなものにはなれていただろうか。そんなことを考えながら、ぐるぐるした先に出来た作品です。
1994年生まれ、神奈川県出身。日本大学芸術学映画学科に入学し、短編映画を中心にnever young beachなどMVを多数制作。卒業制作『春みたいだ』が東京学生映画祭にて観客賞、審査員特別賞受賞。第36回PFFアワードにて、エンターテインメント賞(ホリプロ賞)受賞。そして本作は、来年2月に香港での上映を控えている。
少なからず自分は何者かになれると思っていた――主人公のセンはどこか自分に自信が無く、やりたいことも見つからず悶々とした日々を過ごしている。自分を認めてもらえるかもしれない場所と出会ったが、簡単に夢破れてしまうのかもしれない。寂しさを感じ、すれ違う恋人に心を近づけようとするセンだが、センが見てきた色や想いを見ようとしてくれない恋人に擦り合わせようのない寂しさを感じるのであった。
地元や大学の友人に協力をしてもらい、役者もほとんどが素人の方に演じてもらいました。毎日撮影を行い、そして再撮や追撮をし、気がつけば2年以上の月日が流れていました。うんざりしながらも最後の最後までついてきてくれた友人に本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
1993年生まれ、東京都出身。大学で自主制作の映画を撮り始め、初監督作品『あるみち』がPFFアワードグランプリを受賞し、その後、ベルリン国際映画祭等でノミネートを果たす。卒業制作として今作が2作目。
駆け出し小説家のカズキは新作執筆のため、故郷の島で夏休みを過ごしていた。ひょんなことから、滞在していたペンションの管理をカズキは任されることになり、宿泊客のレイコとユカに出会う。カズキはレイコに昔付き合っていた女性の面影を見出し、いとも簡単に心奪われてしまう。ある晩、酒を飲んでいた3人はユカの奔放な振る舞いをきっかけに大きく衝突をはじめる。
この映画は自分が生きる上でどうしても必要だと思って作りました。そして映画は、新たな問いをぼくに与えてくれました。上映を続けることで、この映画があってよかった、必要だと感じてくれる観客と出会えたらとても幸せに思います。
1988年生まれ、埼玉県出身。横浜国立大学大学院都市イノベーション学府修了。濱口竜介監督『ハッピーアワー』に助監督として参加し、2017年に『二十代の夏』を発表。本作は第25回ヴィラ・ド・コンデ国際短編映画祭インターナショナル・コンペティション(ポルトガル)に選出された。
1969年生まれ、鳥取県出身。テレビコマーシャルの制作に関わった後、2003年、松竹に入社。以後、映画プロデューサーとして『子ぎつねヘレン』、実写版『ゲゲゲの鬼太郎』、『日々ロック』、『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』、『ディストラクション・ベイビーズ』、『一週間フレンズ。』などを手掛ける。12年公開の『わが母の記』は第35回モントリオール世界映画祭で審査員特別グランプリや日本アカデミー賞優秀賞など数々の賞を受賞。また同作品により、プロデューサーとして、映画製作者に与えられる第32回藤本賞・奨励賞を受賞した。
1979年神奈川県生まれ、埼玉県育ち。最新作は『ビジランテ』(2017年12月9日公開予定)、『22年目の告白〜私が殺人犯です〜』。『SRサイタマノラッパー』で日本映画監督協会新人賞、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭オフシアター部門グランプリなどを受賞。そのほか、『日々ロック』『太陽』『ジョーカー・ゲーム』などを監督。