第27回映画祭TAMA CINEMA FORUM
東映動画製作の長篇アニメーション。シャルル・ペローの童話をもとに、井上ひさしと山元護久が脚本を書き、ギャグ監修に中原弓彦こと小林信彦を起用した豪華な布陣で製作された、東映動画の代表作の一つ。井上ひさしと小林信彦が後に作家として知られることは言うまでもない。その特徴は愉快なギャグとアクションの連続にあり、教訓めいたメッセージが排除されている点にある。猫のペローが家を追い出されたピエールを助けて、国王の娘ローザ姫の婿に売りこむが、魔王ルシファがローザ姫に目をつけて、彼女を奪って城に監禁する。この姫の救出場面が大きな見せ場となる。高い城、その上にそびえる塔、周り階段、吊り橋などを用いた戦いに次ぐ戦い、朝日に溶けていく魔王、その光のなかを落下していくローザ姫とペロー。その2人を鳩の群が救い上げるという場面の連続は、アニメーションならではの醍醐味がある。(徳)
宮沢賢治の代表作である童話のアニメーション映画化だが、主な登場人物を猫に仕立てたますむら・ひろしの異色漫画を原案に、脚本に演劇界の巨人・別役実、音楽にYMO解散後の細野晴臣を迎え、『ジャックと豆の木』(1974年)などを手掛けてきた杉井ギサブローが演出を務め、1年半の製作期間をかけて完成させた、1980年代日本アニメーション映画の金字塔。
病気の母と暮らし、漁から滅多に帰らない父を待つ孤独な少年ジョバンニは、星祭りの夜、無二の友人カンパネルラとともに、機関車に乗って星空へと旅立つ。その美しくも幻想的な旅路のなか、多くの乗客との出会いと別れを通じて、ジョバンニは生き続ける意味を確かめることになる。やがて旅の終わりの時が訪れ……。
エンディングロール時の最後の朗読は、宮沢賢治の詩「春と修羅」の序である。(徳)