第29回映画祭TAMA CINEMA FORUM
建てられてから長い年月を経て、荒廃が始まっているその空き家では、人々が自由に出入りし、暮らしている。村の役所から彼らへの立ち退きの要求をするために家を訪れる男、矢島。しかし彼はそこに暮らす人々のペースに巻き込まれてしまう。仕事を全うできない矢島は、やがてその家に、一晩滞在することになる。
この映画は、この家に出会うことで生まれた映画です。家族の在り方や、人とのコミュニケーションの形を改めて考え直す映画になりました。家の持ち主の鈴木さん、井前ブラザーズ、脚本の金子鈴幸、この映画に関わってくれたすべての人に感謝します。
1991年生まれ、北海道岩見沢市出身。明治大学法学部卒業。大学時代より実験映画を中心に自主制作を始める。現在は映像ディレクターとして活動中。
数年前家を出て一人東京で暮らす和馬は、親が経営していた酒屋を継いだ兄、弘文の元へ帰ってくる。久々に訪れた実家は昔のままの懐かしさの中に確実に変わってしまったものがあった。
どこか懐かしく、せつなく、温かい空気感を、町の酒屋さんから、また兄弟の距離感から感じていただけたら嬉しいです。
1996年生まれ、東京都出身。17歳から俳優活動を開始。役者業の一方独学で脚本を書き始め、本作が初監督・脚本作品。
ある日、澄子は橋から飛び降り自殺を図った。しかし死ぬことが出来ず戻ってきてしまった。彼女は、その後因縁のあるひとりの幽霊に悩まされ始め、すべての原因を作った幼馴染の秀明に復讐しようとする。
自分という存在を蔑ろにした彼女が、強引に周りへ存在を示そうとする姿は痛々しいかもしれません。しかし誰しも内に秘めた共通の感情ではないかと思っています。彼女の怒りを受け止めてもらえたらと思います。
1990年生まれ、神奈川出身。立教大学卒業後、ニューシネマワークショップにて映画製作を学び始める。立教大学大学院で篠崎誠に師事し、修了作品として『彼女はひとり』を製作。その後東京藝術大学大学院にて黒沢清、諏訪敦彦に師事。実習作品『投影』はイランファジル映画祭にて上映。
カズヤ、ソウジ、トモキ、元暴走族の3人はそれぞれの日常を送っている。ある夜、仕事中些細な揉め事に巻き込まれたカズヤが、突然東京を飛び出し地元へと帰る。その日は偶然事故で亡くなった友人・マコトの命日であった。カズヤ、ソウジ、トモキの3人が久しぶりに再会をし、かつての青春時代に向かっていくかのように走り出す。
「暴走族」ムービーというとバイオレンスムービーととらわれてしまいがちですが、本作は30代の青春ロードムービーとなっております。実在する幸手櫻會という暴走族のOBの方々にご協力いただき制作しました。お楽しみいただけたらと思います。
1983年生まれ、東京都出身。俳優としてキャリアをスタートし、映画、舞台、MVなどに多数出演。ディレクターだった父親の影響で、24歳から監督として映画制作を始める。監督作に『TORE』(12年)、『ハルとロウ』(15年)がある。
「赤ちゃん、持ってきちゃったみたい――」陽平が家に帰ると、朝までは居なかったはずの赤子を指して凛子はぽつりと言った。ホームヘルパーとして老人の介護をする凛子と、何でも屋として日々仕事を転々と変えていく陽平。未来や将来や、なんだかそんなようなものから目を背けていた二人の前に、未来ばかりを背負った小さな生命が横たわり……。
この映画は、監督と二人で夜遅くにコンビニにあるベンチに座って、ボーッと行き交う人々を眺めながら、過去のコト、未来のコト、現在のコト、好きなコト嫌いなコト、誠実なコトとてもいやらしいコト、そんな会話のなかで始まったものです。映画作りの喜びを知った貴重な時間でした。ぜひご覧いただければと思います。
1992年生まれ、愛知県出身。2012年、京都造形芸術大学映画学科監督コースへ入学。福岡芳穂監督、鈴木卓爾監督から師事を受け、多数のゼミ作品を監督したのち、卒業制作『人間シャララ宣言』(16年)を発表。TAMA NEW WAVE 2016、ゆうばりファンタスティック映画祭にて上映。