第29回映画祭TAMA CINEMA FORUM

プログラム紹介

【B-4】映画界のミューズ 女優・前田敦子

11/24[日] パルテノン多摩小ホール

チケット料金

一般
前売:1,500円 / 当日:1,800円
子ども(4歳~小学生)
前売:800円 / 当日:900円

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Seventh Code

  • 2014年/AKS製作/キングレコード配給/60分
  • 監督・脚本=黒沢清
  • 企画=秋元康
  • プロデューサー=荒川優美、椋樹弘尚
  • 撮影=木村信也
  • 美術=安宅紀史
  • 編集=高橋幸一
  • 出演=前田敦子、鈴木亮平、アイシー、山本浩司

ストーリー

秋子(前田)は松永(鈴木)という男を追って、極東の街までやってきた。そこで再会した松永は秋子を覚えておらず、再び彼女の前から姿を消した。「もう一度彼に会いたい」そんな強い思いから、秋子は日本人が営む食堂で働きながら彼を探すことに。そんななか、松永がマフィアと接点があるという情報が入り……。

コメント

前田敦子のミュージックビデオから派生した本作品。物語前半はロシア・ウラジオストクの街並みと前田敦子のどこか捉えどころのない表情が相まって、より一層物語に謎めいた空気が漂っている。独特の雰囲気をまといながら進む物語は、後半のスピード感ある展開でストーリーの核心に迫ってゆく。ラストのシーンは、私は鑑賞後すぐには自分のなかに消化できない感覚があった。

この作品には私の記憶に残っていたキラキラの笑顔を向けるあっちゃんは存在していなかった。そこにいたのは、重いキャリーケースをぞんざいに扱い不格好に走る姿や、料理をがつがつと無我夢中に頬張る姿の秋子であった。圧倒的な存在感を持つ前田敦子を、こんなにも泥くさく描いている作品を私は初めて観た。

鑑賞後にはあの詩について調べてみてほしい。帰り道で主題歌もぜひもう一度。物語や秋子に思いを馳せて、映像に映る一つひとつに意味を深く探りたくなる、そんな映画だ。(夏)

旅のおわり世界のはじまり

  • 2019年/日本・ウズベキスタン・カタール/「旅のおわり世界のはじまり」製作委員会製作/東京テアトル配給/120分
  • 監督・脚本=黒沢清
  • プロデューサー=水野詠子、ジェイソン・グレイ、西ヶ谷寿一
  • 撮影=芦澤明子
  • 美術=安宅紀史
  • 編集=高橋幸一
  • 出演=前田敦子、加瀬亮、染谷将太、柄本時生、アディズ・ラジャボフ

ストーリー

テレビレポーターの葉子(前田)は“幻の怪魚”を探すため、番組クルーと共に、かつてのシルクロードの中心地を訪れた。目的を果たさぬまま異国のロケが続く。ある日、ひとり街に出た彼女は、聞こえてきた微かな歌声に誘われ美しい劇場に迷い込む。彼女が旅の果てで出会ったものとは……。

コメント

黒沢清監督にまた、してやられた。前田敦子主演、オールウズベキスタンロケでロードムービーというからには似たタイプの作品の名シーンをモチーフにして創作意欲を燃やしたのか……、と勝手に想像していた。しかし鑑賞後、その想像とは無縁に、黒沢監督の新しい企みに満ちた構成と映像表現に驚愕した。まず全シーンに葉子が登場している。次に前後半に二つのクライマックスがあるとても珍しい構成。映像表現では、移動や車窓シーンはあるものの、従来のロードムービーのカット割りを踏襲していない。全編一貫して葉子が正面向きでカメラに近づき、次のカットで後ろ向きにカメラから遠ざかる。一人でも、クルー5人でも、バイクでも、車でも……。このカット割りを前半のクライマックスで畳みかけ、白日夢のような演出となっている。そしてどちらのクライマックスも前田敦子のミューズとしての存在感とディーバとしての歌唱力なしに成立しない。こんなに計算された作品でありながら、何ともいえない芸術作品の品格を醸し出しているのが凄い。(逹)

ゲスト紹介

前田 敦子 氏

Maeda Atsuko

1991年生まれ、千葉県出身。AKB48のメンバーとして活躍し、『あしたの私のつくり方』(2007年)で映画デビュー。12年『苦役列車』で第4回TAMA映画賞最優秀新進女優賞を受賞。その他主な出演作に『もらとりあむタマ子』(13年)、『イニシエーション・ラブ』(15年)、『素敵なダイナマイトスキャンダル』(18年)、『葬式の名人』(19年)などがある。『旅のおわり世界のはじまり』(19年)は『Seventh Code』(14年)、『散歩する侵略者』(17年)に次ぐ黒沢清監督作品への出演となった。

黒沢 清 監督

Kurosawa Kiyoshi

1955年生まれ、兵庫県出身。立教大学在学中より8mm映画を撮り始め、83年商業映画デビュー。97年の『CURE』で世界から脚光を浴びると、カンヌ国際映画祭では、『回路』(2000年)で国際批評家連盟賞、『トウキョウソナタ』(08年)で「ある視点」部門審査員賞、『岸辺の旅』(14年)で同部門監督賞を受賞するなど国際的評価も高い。『ダゲレオタイプの女』(16年)は初のフランス映画となる。16年『散歩する侵略者』では第9回TAMA映画賞最優秀作品賞を受賞している。

プログラム一覧

成田凌氏、今泉力哉監督、木村和平氏(写真家)
前田敦子氏、黒沢清監督
河村光庸プロデューサー 松崎健夫氏(映画評論家)※ビデオメッセージあり(シム・ウンギョン氏、藤井道人監督)
山戸結希監督、志磨遼平氏(ドレスコーズ)
横尾初喜監督、井浦新氏
鈴木卓爾監督、あがた森魚氏(ミュージシャン)、井浦新氏、大森元気氏
鈴木洋平監督、柳英里紗氏、杉原永純氏(元YCAMキュレーター、映画キュレーター、プロデューサー)
アンジャリ<八尋美樹>氏(インド楽しいこと案内人)
佐藤零郎監督、渥美喜子氏(gojo/映画ライター・シネ砦集団代表)
中原仁氏(音楽プロデューサー)
石井達也監督、根矢涼香氏、松崎健夫氏(映画評論家)
寺尾紗穂氏(音楽家・文筆家、「原発労働者」著者)
丸山昇一氏(脚本家)
杉田協士監督、宮崎大祐監督
団地団
坂本浩一監督、山本千尋氏
今泉力哉監督、北條誠人氏(ユーロスペース支配人)
長久允監督、奥山大史監督
宇賀那健一監督、山口明氏(デザイナー)