第29回映画祭TAMA CINEMA FORUM

プログラム紹介

【C-7】世界の巨匠・黒澤明 ―Vol.2―

11/27[水] ベルブホール

チケット料金

一般
当日のみ:800円

羅生門

  • (デジタル復元版)
  • 1950年/大映京都撮影所製作/大映配給/88分
  • 監督・脚本=黒澤明
  • 製作=箕浦甚吾
  • 原作=芥川龍之介
  • 脚本=橋本忍
  • 撮影=宮川一夫
  • 美術=松山崇
  • 音楽=早坂文雄
  • 編集=西田重雄
  • 出演=三船敏郎、京マチ子、志村喬、森雅之、千秋実、上田吉二郎、本間文子、加藤大介

ストーリー

荒れ果てた平安時代の京の都。都の羅城門で3人の男が雨宿りをしている。杣売りと旅の法師はある事件のために検非違使に出頭した後の帰りだった。2人はその事件の話をもう1人の男に話し始める

コメント

芥川龍之介の短編小説「藪の中」を、脚本家を志望していた橋本忍が脚色し、黒澤明の助言で同じ芥川の短編「羅生門」が加えられた。ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞、米・アカデミー最優秀外国語映画賞を受賞し一躍日本だけではなく世界のクロサワの誕生だった。

正確には<藪の中>なので密室ではないのだが、密室サスペンス会話劇の一つの型となるような名作。登場人物が多くもなく、シチュエーションも少ない、しかし橋本忍の緻密な脚本と三船敏郎のインパクト、京マチ子の妖しさが目を見張った。人がつく嘘、嘘で捻じ曲げられていく事実。本作が作られた時代も、平安時代も、現代も未だになんら変わることなく自身の保身のために嘘をつく。人間とはまったく度し難い生き物である。(青)

天国と地獄

  • 1963年/東宝、黒澤プロダクション製作/東宝配給/143分
  • 監督・脚本・編集=黒澤明
  • 製作=田中友幸、菊島隆三
  • 原作=エド・マクベイン
  • 脚本=小国英雄、菊島隆三、久板栄二郎
  • 撮影=中井朝一、斎藤孝雄
  • 美術=村木与四郎
  • 音楽=佐藤勝
  • 出演=三船敏郎、仲代達也、香川京子、三橋達也、木村功、石山健二郎、志村喬、佐田豊、山﨑努

ストーリー

社内での権力争いのなかで勝ち上がり、会社を手中に収めようと画策する権藤(三船)。しかしそんな折、権藤のもとに「子供をさらった」という男からの電話が入り、誘拐事件から物語が始まる。

コメント

この作品にはあまりにも逸話が多すぎる。作品を観てその逸話を知るもよし、逸話を色々と知ってから作品を観るのもよし。随所に黒澤明や橋本忍などのスタッフのこだわりにこだわり抜いた点が見て取れる。

中でも有名なのは酒匂川の鉄橋から身代金を投げる時にある家の2階が撮影に邪魔だからと2階を実際に取り壊したことだろう。何度となく訪れている酒匂川だが、その家はもうない。とても残念だ。

もう一つ好きな逸話は山﨑努のラストシーン。当初は違うラストシーンだったが彼の演技があまりにも凄くてそのまま使用したという。『天国と地獄』の意味。犯人の心理、強いては作品のテーマがそこに凝縮していた。時代もシチュエーションも違うが、脚本を弄られるのを嫌う梶原一騎が脚本を変えることを認めた、「あしたのジョー」の真っ白になったジョーのラストと重ねてしまった。(青)

プログラム一覧

成田凌氏、今泉力哉監督、木村和平氏(写真家)
前田敦子氏、黒沢清監督
河村光庸プロデューサー 松崎健夫氏(映画評論家)※ビデオメッセージあり(シム・ウンギョン氏、藤井道人監督)
山戸結希監督、志磨遼平氏(ドレスコーズ)
横尾初喜監督、井浦新氏
鈴木卓爾監督、あがた森魚氏(ミュージシャン)、井浦新氏、大森元気氏
鈴木洋平監督、柳英里紗氏、杉原永純氏(元YCAMキュレーター、映画キュレーター、プロデューサー)
アンジャリ<八尋美樹>氏(インド楽しいこと案内人)
佐藤零郎監督、渥美喜子氏(gojo/映画ライター・シネ砦集団代表)
中原仁氏(音楽プロデューサー)
石井達也監督、根矢涼香氏、松崎健夫氏(映画評論家)
寺尾紗穂氏(音楽家・文筆家、「原発労働者」著者)
丸山昇一氏(脚本家)
杉田協士監督、宮崎大祐監督
団地団
坂本浩一監督、山本千尋氏
今泉力哉監督、北條誠人氏(ユーロスペース支配人)
長久允監督、奥山大史監督
宇賀那健一監督、山口明氏(デザイナー)