第32回映画祭TAMA CINEMA FORUM
多摩市立永山公民館(ベルブ永山)
多摩市立関戸公民館(ヴィータコミューネ)
感情の起伏が少なくあまり笑わない主人公アサは、親切な先輩に囲まれながら、映像制作会社でADとして働いている。しかし何気ない会話でのからかいやアドバイスなど、先輩たちの言葉や振る舞いに対して、アサのなかで少しずつ違和感が積み重なっていく……。
日常において「ある」のに「なかったこと」にしてしまう感覚や違和感、引っ掛かっているけれど、大したことはないと片付けてしまう出来事を、あえてひとつひとつ映像に映したいという想いで制作しました。この映画で切り取る些細な出来事の背景には、誰しもが無意識のうちに持ちうる偏見や差別があるのかもしれません。また「若い女性」という属性が理由で向けられる社会からの視線や期待に抵抗し、疑問を持ち続ける主人公を応援したいです。
1997年生まれ、滋賀県出身。同志社大学グローバル地域文化学部卒業。在学中に、第22回京都国際学生映画祭にて実行委員長を務め、映画祭の企画・運営を行う。かねてより映画をつくる側にも興味があったため、2021年よりNCWへ参加。アドバンスコースにてシナリオが選出され、短編『燃やす』を制作。
かつては新進気鋭の水中写真家として注目された松田洋だったが、いまは妻の早織とともに静岡に戻り、家業である松田なまり節工場の後継ぎとして働いている。
あくまで夢を追い続けたい洋だったが、明治から続く伝統の重みや父親の過去に触れ、家業に対する責任感が芽生え始める。自分の進むべき道がわからなくなってしまった洋は、やがて彼を応援する早織ともギクシャクしてしまい―。
コロナ禍を機に東京から離れていた時、故郷・静岡で本作の主人公夫婦を演じる2人の俳優と出会いました。夢と現実、都会と田舎、男性と女性で感じるプレッシャーの違い……何時間も喫茶店で話して、そこからこの映画づくりが動き出しました。今の時代の等身大の悩みや喜びを、主人公の洋と早織を通して時には繊細に、時には大胆に表現しました。本作をきっかけに色々な会話が生まれたら嬉しいです。
1993年生まれ、静岡県出身。東京大学文学部卒業後、米国コロンビア大学大学院フィルムスクールにて映画を学ぶ。ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2017の脚本コンペで最優秀賞を受賞し、『ブレイカーズ』を脚本・監督。フィクション・ドキュメンタリーの垣根を越えて活動し、作品はシンガポール国際映画祭やホリーショーツ映画祭など国内外の映画祭で上映されている。
あの日の夜はちょっとだけ特別だった。夏の終わりを目の前にした若者たちの人間模様。予定していた面接が急遽延期になった就活生の山ノ辺とキミ。野球部のマネージャーだった凛子に電話をかける秀一。コンビニでバイト中の健斗とキョーコ。海の近い町で、それぞれの忘れられない一晩が過ぎていく。
映画制作の専門学校で学んできた2年間、ずっとモラトリアムをテーマに映画制作をしてきました。自分自身、24歳までダラダラと学生を続けてきてしまい、専門学校を卒業する前にモラトリアムから卒業する映画を撮り、自分のなかでも社会にでる決意をしなければ、人としても、この先映画業界に進んだとしても何も成し遂げられないと思い、自分自身のイニシエーションとして製作を決めました。
1997年生まれ、茨城県出身。東放学園映画専門学校映画制作科在学中に、級友と自主映画の制作を始める。2021年『また春が来やがって』を脚本・監督し、第32回東京学生映画祭にて観客賞と審査員特別賞(城定秀夫監督)を受賞。22年、監督作『私はたぶん絶対にかわいい』がギャラリーN映画展にてグランプリを獲得。演劇・映像を制作する劇団セビロデクンフーズ主催。
家庭の事情で高校を中退してから16年間、小劇場の舞台に立ってきた私。だが、とうとう30歳で進学を決意。舞台に立ちながら大学に通っていた。けれど、子供が産まれ、生活は一変。直面する現実のなかで自分の生き方を疑い始める。俳優であり、学生であり、母である私自身の葛藤と家族を記録したドキュメンタリー。第2回立教大学映像身体学科学生研究会スカラシップ助成作品。
「どうして私は上手く行かないの? 育児と仕事、みんなどうしてるの?」この答えを探しに作品は出発しました。制作中、自分を見つめるなかで、「この社会で自分らしく生きていくこととは?」という新たな問いが生まれました。職業や性別に関係なく、そうした生き方に対する問いを持つ方々に観ていただければ幸いです。
1983年生まれ、千葉県出身。2003年より演劇を中心に俳優活動を開始。11年から教育現場でワークショップファシリテーターなどを務めつつ、ダンスや映像作品に出演。本作で初のドキュメンタリー映画の監督を務める。【主な出演作品】映画:『ボディ・リメンバー』(19年)、『タートルハウス』(13年)など。舞台:遊園地再生事業団、マレビトの会など多数。