第32回映画祭TAMA CINEMA FORUM

プログラム紹介

【D-11】日本ヌーベルバーグ ―Vol.1―

11/21[月] ベルブホール
チケット情報

チケット料金

一般
当日のみ:800円
子ども(4歳~小学生)
無料
会場アクセス

ベルブホール

〒206-0025 東京都多摩市永山1-5
小田急多摩線/京王相模原線「永山駅」より徒歩2分。ベルブ永山5階

心中天網島

  • 1969年/表現社、ATG製作/ATG配給/103分
  • 監督・脚本=篠田正浩
  • 原作=近松門左衛門
  • 脚本=富岡多恵子、武満徹
  • 撮影=成島東一郎
  • 美術=栗津潔
  • 音楽=武満徹
  • 出演=中村吉右衛門、岩下志麻、滝田裕介、小松方正、加藤嘉、藤原釜足

ストーリー

大阪天満御前町の紙屋治兵衛(中村)は妻子ある身でありながら曾根崎新地の紀伊国屋の遊女・小春(岩下)と昵懇の仲となる。

コメント

近松門左衛門は江戸時代の元禄文化を代表する浄瑠璃作家で、ヒット作を連発していた。なかでも悲恋ものは人気が高く、多くが映画化された。溝口健二監督『近松物語』、内田吐夢監督『浪花の恋の物語』、増村保造監督『曽根崎心中』、そして篠田正浩監督『心中天網島』。いずれも名作だが、本作が他と大きく異なるのは、その実験精神である。キーワードは「黒」。2つの黒が、この作品の魅力を深めている。

主演の岩下志麻は二役を演じる。小春は治兵衛の心中相手となる、情感あふれる遊女である。もう一役は妻おさんで、眉を落とし、お歯黒を塗っている。これは当時の人妻の慣習であるが、映画で再現するのはリアリズムというより実験に近い。

また、重要な場面でしばしば黒子が登場する。浄瑠璃では、人形は人ではないので悲しいかな、番傘を差すにも黒子の手を借りる。本作の黒子は、人間である治兵衛と小春の道行にまでついてきて手を貸すのである。この黒子は何を表すのか、一考の価値ある役回りと言える。(三)

情炎

  • 1967年/現代映画社製作/松竹配給/98分
  • 監督・脚本=吉田喜重
  • 原作=立原正秋
  • 撮影=金宇満司
  • 美術=梅田千代夫
  • 音楽=池野成
  • 出演=岡田茉莉子、木村功、高橋悦史、しめぎしがこ、菅野忠彦、南美江

ストーリー

織子(岡田)は社長夫人でありながら、その実はトロフィーワイフに過ぎなかった。夫・隆志(菅野)は外に愛人をつくり、家を空ける生活が続く。そんなある日、織子は歌会で彫刻家・能登(木村)と邂逅する。

コメント

松竹を離れた吉田喜重監督と岡田茉莉子が設立した独立プロダクション・現代映画社が製作した『女のみづうみ』(1966年)に次ぐ、第2作。原作は、直木賞受賞作の立原正秋「白い罌粟(けし)」で、これ以降、吉田監督作品は『炎と女』(67年)から『戒厳令』(73年)までオリジナル脚本が続いている。社長夫人として愛のない結婚生活を送っている女性が、母の情人だった男と再会し、自らもその男を愛し母と同じ道をたどりはじめるという物語を、吉田監督は『水で書かれた物語』(65年)『女のみづうみ』に続き、性を主題に女性側から追究している。岡田は本作について「吉田の映像表現が、よりいっそう自由に、そして大胆に追及されており、それが私自身にも演技することの不思議な魅力、その奥深さといったものを改めて感じさせる、思い出深い作品」と自伝に記している。

プログラム一覧

白鳥玉季氏 李相日監督
磯村勇斗氏 伊藤さとり氏(映画パーソナリティ)
狩山俊輔監督 鶴谷香央理氏(原作者) 中井圭氏(映画解説者)
小林啓一監督 中井圭氏(映画解説者)
早川千絵監督 金原由佳氏(映画ジャーナリスト)
森井勇佑監督 大沢一菜氏 青葉市子氏(音楽家)
山口路子氏(作家)
安川有果監督 小原治氏(ポレポレ東中野スタッフ)
杉田協士監督 東直子氏(歌人) 荒木知佳氏
川北ゆめき監督 いまおかしんじ氏(本作脚本) 青木柚氏 中村守里氏
いまおかしんじ氏(本作脚本) 小出恵介氏 日高七海氏 森直人氏(映画評論家)
斉加尚代監督 志田陽子氏(武蔵野美術大学教授)
伊藤春奈氏(花束書房) 水上文氏(文筆家)
宇田川幸洋氏(映画評論家)
山野晃プロデューサー 片山慎三監督 松崎健夫氏(映画評論家)
鈴木卓爾氏 翁華栄氏 さとうこうじ氏 鈴木秀幸氏(共同脚本)
西垣吉春監督
大山顕氏 佐藤大氏 稲田豊史氏 速水健朗氏 妹尾朝子氏 山内マリコ氏 久保寺健彦氏
平一紘監督 玉代㔟圭司氏 平隆人氏 南里美希氏