第32回映画祭TAMA CINEMA FORUM
多摩市立永山公民館(ベルブ永山)
多摩市立関戸公民館(ヴィータコミューネ)
パルテノン多摩 総合窓口(【B-1】~【B-8】のみお取扱い)
あみ子はちょっと風変わりな女の子。優しいお父さん、いっしょに遊んでくれるお兄ちゃん、書道教室の先生でお腹には赤ちゃんがいるお母さん、憧れの同級生のり君、たくさんの人に見守られながら元気いっぱいに過ごしていた。だが、彼女のあまりに純粋無垢な行動は、周囲の人たちを否応なく変えていくことになる。誕生日にもらった電池切れのトランシーバーに話しかけるあみ子。「応答せよ、応答せよ。こちらあみ子」―。奇妙で滑稽で、でもどこか愛おしい人間たちのありようが生き生きと描かれていく。
たのしいこともさびしいことも―あみ子が教えてくれるのは、私たちが“かつて見ていたはずの世界”。
原作は今村夏子氏のデビュー作「あたらしい娘」(2010年発表。のちに「こちらあみ子」に改題)。森井勇佑監督は、原作と出会って以来、映画化を熱望、初監督作品として、原作を忠実に映画化しながらも、オリジナルシーンやポップでグラフィカルな映像描写で新たな風を吹き込む傑作を生み出した。主人公のあみ子を演じるのは、応募総数330名の中から見いだされた新星・大沢一菜。演技未経験ながら圧倒的な存在感で“あみ子の見ている世界”を体現し、現場の自由な空気のなかでキャラクターをつかんでいった。そして、国内外で人気を集める音楽家、青葉市子が手掛けた音楽が「あみ子ワールド」の雰囲気を一層際立たせていて優しい余韻をいつまでも残してくれます。(西)
1985年生まれ、兵庫県出身。日本映画学校映像学科(現 日本映画大学)を卒業後、映画学校の講師だった長崎俊一監督の『西の魔女が死んだ』(2008年)で、演出部として映画業界に入る。大森立嗣監督作品をはじめ、日本映画界を牽引する監督たちの現場で助監督を務め、『こちらあみ子』で監督デビューを果たした。
2011年生まれ、東京都出身。本作で映画デビュー。演技未経験ながら、オーディションで主役「あみ子」役に抜擢。
1990年生まれ。音楽家。2010年デビュー以降、これまでに7枚のオリジナルアルバムをリリース。うたとクラシックギターをたずさえ、国内外で活動中。近年はラジオDJやナレーション、CM・舞台音楽の制作、芸術祭でのインスタレーション作品発表など、さまざまなフィールドで創作を行う。自主レーベル「hermine」(エルミン)より、体温の宿った幻想世界を描き続けている。最新作は、“架空の映画のためのサウンドトラック”「アダンの風」。22年公開の森井勇佑初監督の映画作品『こちらあみ子』では劇中音楽と主題歌を担当した。