第26回映画祭TAMA CINEMA FORUM
俳優・加山雄三の代名詞とも言える若大将シリーズの栄えある第1作目。
若大将こと田沼雄一(加山)は京南大学水泳部のエース。容姿端麗、明朗快活。水泳部主催のパーティなどで今風の音楽やダンスもこなす。そんな男を異性が放っとくわけもなく、女の子からはモテモテの毎日だ。実家は老舗すき焼屋「田能久」。跡取り息子だが、昔気質の父・久太郎(有島)とはどうも折り合いが合わない。ある夏の日、ついに父から勘当されてしまう。家を出た雄一は、水泳部の夏合宿までアルバイトに日々奮闘することとなる。そして迎える大学対抗水泳大会。はたして雄一は京南大学水泳部に勝利をもたらすことができるのであろうか。
若大将は何をやっていても映えてしまう。一方、若大将のライバルという立ち位置で登場する青大将こと石山新次郎(田中)も存在感という点では負けていない。俳優・田中邦衛といえば、今は「北の国から」のイメージが強いが、その若かりし頃の姿が強面で必見だ。(徳)
高度経済成長期のサラリーマンが踊る、和製ミュージカル映画の代表格。最初の東京五輪を間近に控えた時期に公開され(映画公開は1964年5月、東京五輪開催は同年10月)、そういう時代背景が作品の世界にもリンクしている。
五輪特需で外国人観光客の増加を意識する東和観光。ライバルの極東観光を出し抜き外国の観光団を引き寄せようと躍起だ。そんな東和観光の外国人旅客課には出世に燃えるお調子者の山川(フランキー)と優しくのんびりした性格の中井(高島)が所属しており、この2人が課のエースとして日々奮闘していた。そんななか、社長令嬢の陽子(雪村)がアメリカから帰国し、彼女はアメリカ的な合理主義経営術で外国人旅客課を運営しようとする。
作中最大の見どころはやはり要所で披露される壮大な歌とダンスであろう。個人的には陽子が口にする♪「ア、メ、リ~カでは」というフレーズが強く印象に残った。中井と陽子の恋の行方も気になるところ。引っ掻き回す紅子(浜)が良い味を出している。(徳)