第26回映画祭TAMA CINEMA FORUM
妻を失った次郎と、その息子の登、ペットの亀。次郎の兄の結婚式に出席するため、一家は突然旅に出ることになる。反抗期の登、無軌道すぎる兄、コントロール不能な亀との旅は目的を逸れて混沌を極める。そして道中、妻の死に関する事実が徐々に明らかになっていく。
増す増す不寛容になっていく世界のなか、今こそ必要な歌を大声で歌います。
1983年生まれ、神奈川県出身。東京工芸大学 芸術学部を卒業後、映画、CMなどの撮影部としてさまざまな現場に参加。2012年、初監督作品『飛び火』がPFF、TAMA NEW WAVEに入選。現在はカメラマン、ディレクターとして活動中。
両親の別れた日、カンナは忘れ物を取りに学校へ戻る。校内の歌声に誘われて着いたのがミュージカル部。「夏休みの間私たちの観客になって」と頼まれたカンナは、迷いつつも部室へと通い始めるのだが――梅光学院で中高生40名とワークショップを1ヶ月重ね、そこから物語が産まれ、歌が生まれ、キャストとスタッフが選ばれた。出演、音楽、振付、撮影ほか、すべて中高生が母体となっている。
僕らの作品を拾ってくれて、僕らの革命を見つけてくれて有難うございます。本作は中高生40名と校区のサラリーマンが戦後70年の想いをポケットに入れて作った映画です。きっと誰も観たことのない、けれど普遍的な。未開の海原へ羅針盤を持たずに発った僕とU-16の舟はついに新世界へ入港する夢を叶えます、TAMA NEW WAVE という名の。顔晴れやかな彼女らの下船の刻にお一人でも立ち会って頂ければ幸いです。
1967年生まれ、福岡県出身。2010年、40歳を過ぎて自主映画を作り始めた会社員。ここ3年は中高生とのワークショップを通して彼らをキャスト・スタッフに振り分けながら、白紙から映画を制作している。『月日貝』金子みすゞショートムービーコンテスト(グランプリ)。『ひこうき雲』PFFアワード2014(福岡賞)、新人監督映画祭(短編グランプリ)ほか。
東京の郊外の工場で働く立夫は毎日日記を書いている。彼は数年前に恋人を亡くしたショックで声を失った。立夫は同僚、路上ミュージシャン、死んだ恋人の幽霊、同郷の友人、電波を受信する男などさまざまな人々と出会い、すれ違う。彼と彼の日記を巡るとりとめのない日常の抜粋から浮かび上がってくる心優しき都市生活者の姿とは。
東京で暮らして7年ほどになりますが、そのめまぐるしく変貌する街で出会った人たちや見た風景、聞いた話などを映画を作る仲間たちに手伝ってもらって一緒に作った映画です。出演者のほとんどが映画をやっているスタッフやミュージシャンの友達で演技経験者ではないですが、プロの役者さんにはない未知の輝きを映したいと思い作りました。
1987年生まれ、三重県出身。万田邦敏監督『イヌミチ』、辻凪子監督『ゆれてますけど。』など、映画音楽を数本担当。今作が初の中編監督となる。特殊会社員、特殊レーベル・SALU-PARADISE代表、音楽ユニット・Otona Hawaiiバンマスなど。
港町で新聞配達をしている17歳の少年、リョウスケは、ある時突然、喋ることをやめた。同じく新聞配達員であるコウジは、そんなリョウスケを訝しく思っているが、リョウスケはコウジの問いかけにも答えず、新聞に掲載されるお悔みを黙々と眺めている。かつて町で起こった死体遺棄事件の主犯として収監されていた男が服役を終え帰ってくると、リョウスケは男と行動を共にする。
故郷である広島県呉市で撮影しました。広島出身の役者、地元の高校生など、沢山の出会いによって実現した映画です。海によって断絶された町の逼塞した空気を体で感じてください。
1986年生まれ、広島県出身。多摩美術大学映像演劇学科にて映画制作を学ぶ。今作が初監督。
香里と環は別れてから3年も同棲生活を続けている。友人や周りの人間からは関係をはっきりさせた方が良いと言われるが、家の中に境界線を引き、ルールを設け、恋人、友人でもない生活は続いている。そんなある日、環は会社の同僚の浩に食事に誘われ、香里も同僚の紀美から思わせぶりな態度を示される。さらに環の叔母夫婦が二人の状況を探りに来る。二人はなぜ離れられないのか、別れるとはどういうことなのか。決断の時が訪れた。
出演者と共に、お芝居を通して他者と向き合うとはどういうことなのか思考を重ね、演技に対して技術論ではなく、その人自身の在り方として立ち向かう方法はないかと模索しました。たくさんの魅力的な人物に出会いました。それは、出演者自身でもあり、この時間を共有することで産まれた「初めまして」の誰かでもありました。皆さんのなかにも、思いがけない出会いの瞬間がもたらされることを心から願っております。
1982年生まれ、京都出身。大阪芸大卒。初長編『GHOST OF YESTERDAY』が第30回PFFにて審査員特別賞、企画賞を受賞。長編第2作はCO2企画助成作品『YESTERDAY ONCE MORE』(2007年)。13年よりシネマカレッジ京都の俳優コース講師をつとめた。映画録音(整音)技師としても『Dressing Up』(12年、安川有果監督)、『SAVE THE CLUB NOON』(13年、宮本杜朗監督)、『ハッピーアワー』(15年、濱口竜介監督)などに参加。
1973年生まれ、京都出身。日本映画学校の卒業制作『バンザイ人生まっ赤っ赤。』(2000年)が第1回TAMA NEW WAVEグランプリを獲得。SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2012においてSKIPシティアワード及び監督賞を受賞し、SKIPシティDシネマプロジェクト第3弾として公開された『チチを撮りに』(12年)は、第5回TAMA映画賞最優秀新進監督賞のみならず、第63回ベルリン国際映画祭正式招待のほか、第3回サハリン国際映画祭でグランプリなど海外でも高い評価を得た。宮沢りえを主演に迎えた最新作『湯を沸かすほどの熱い愛』(16年)が全国公開中。
1971年生まれ、福岡県出身。『夏の終り』(2013年、熊切和嘉監督)、『四十九日のレシピ』(13年、タナダユキ監督)、『銀の匙 Silver Spoon』(14年、吉田恵輔監督)、『きみはいい子』(15年、呉美保監督)、『セーラー服と機関銃 ―卒業―』(16年、前田弘二監督)。佐藤泰志原作函館三部作をプロデュース。『海炭市叙景』(10年、熊切和嘉監督)、『そこのみにて光輝く』(14年、呉美保監督)に続く最終章『オーバー・フェンス』(16年、山下敦弘監督)。公開待機作は現代の決闘映画『武曲 MUKOKU』(17年、熊切和嘉監督)。