第34回映画祭TAMA CINEMA FORUM

プログラム紹介

【A-1】第16回TAMA映画賞授賞式

11/30[土] パルテノン多摩大ホール
チケット情報

チケット料金

一般
3,000円

第16回TAMA映画賞授賞式チケットの購入方法・詳細についてはこちらのページでご確認ください。

会場アクセス

パルテノン多摩 大ホール

〒206-0033 東京都多摩市落合2-35
小田急多摩線/京王相模原線/多摩都市モノレール「多摩センター駅」より徒歩5分。(パルテノン大通りを直進)

ぼくのお日さま

  • 2024年/「ぼくのお日さま」製作委員会製作/東京テアトル配給/90分
  • 監督・撮影・脚本・編集=奥山大史
  • 製作=渡部秀一、太田和宏
  • プロデューサー=西ヶ谷寿一、西宮由貴
  • 音楽=佐藤良成
  • 美術=安宅紀史成
  • 編集=ティナ・バス
  • 主題歌=ハンバート ハンバート「ぼくのお日さま」
  • 出演= 越山敬達、中西希亜良、若葉竜也、山田真歩、潤浩、池松壮亮

ストーリー

吃音のある野球もアイスホッケーも苦手な少年・タクヤ(越山)。選手の夢を諦め、恋人の地元でスケートを教える男・荒川(池松)。コーチのことがすこし気になるアイススケート少女・さくら(中西)。田舎町のスケートリンクで、3つの心がひとつになって、ほどけてゆく。雪が降りはじめてから雪がとけるまでの、淡くて切ない小さな恋たちの物語。

コメント

この作品は、第77回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション「ある視点」部門に正式出品された。

とても美しく、絵に描いたように完璧な作品。少年、少女のセリフは多くはなく、表情や演技から、心のうちが伝わってくる。

印象的なのは、光へのこだわり。アイスダンスの練習をする少年と少女をやさしく包むスケートリンクの窓からの光。凍った湖でスケートを楽しむ3人は冬の弱い光に包まれる。少年の家の光はちょっと暗いが温かい雰囲気に感じる。荒川と恋人の部屋には直線的に光が差し込んでいる。雪が溶け、春になり、緑があふれると一気に明るい光が溢れる。

エンドロールに流れるハンバート ハンバートの「ぼくのお日さま」、アイスダンスの曲「月の光」、音楽も映像にフィットして素晴らしい。

雪の白一色から新緑への移り変わり、育っていく少年、少女、子どももおとなも、ふたりに温かく接する。この作品は観た者への、文字通り、「お日さま」になるだろう。(西)

夜明けのすべて

  • 2024年/「夜明けのすべて」製作委員会製作/バンダイナムコフィルムワークス、アスミック・エース配給/119分
  • 監督・脚本=三宅唱
  • 原作=瀬尾まいこ
  • 脚本=和田清人
  • 企画・プロデュース=井上竜太
  • チーフプロデューサー=西川朝子
  • 撮影=月永雄太
  • 美術=禪洲幸久
  • 音楽=Hi’Spec
  • 編集=大川景子
  • 出演=松村北斗、上白石萌音、渋川清彦、光石研、芋生悠、内田慈、りょう、藤間爽子、宮川一朗太、斉藤陽一郎

ストーリー

PMS(月経前症候群)のせいで月に一度イライラを抑えられなくなる藤沢さん(上白石)は、会社の同僚・山添くん(松村)のある行動がきっかけで怒りを爆発させてしまう。そんな彼もまた、パニック障害を抱え生きがいも気力も失っていた。やがて藤沢さんと山添くんの間には、恋人でも友達でもない同志のような特別な感情が芽生えはじめる。

コメント

この映画の好きなところをあげるときりがない。いちばん好きなところは、生活や、人の営み、息遣いが感じられるところかもしれない。たとえば、冒頭の藤沢さんが雨の中でたおれてしまうシーン。母親から大きすぎる手袋を受け取るシーン。山添くんの部屋のシーン。フォトフレームの中の笑顔や活気と、知人や恋人ともうまく接することができずに膝を抱えるいまとの対比。栗田科学での就業中のやりとり。何気ないシーンにこそ、そこに至るまでの登場人物たちの暮らしや生き方が感じられる。それが、メイン2人だけに限らないことが、物語に厚みを加える。さらに、あるシーンでは、時を超えて、過去たしかにそこにいた人物の“心の声”さえも掬い取られている。そのきめ細やかな演出のひとつひとつに心が震えた。三宅唱監督は、これまでも、影を丁寧に描き光の美しさや尊さを浮かびあがらせてきたが、本作で作品のテーマと自身の作風を見事に重ねて、日本映画における傑作を誕生させた。(ながせ)

受賞者プロフィール

三宅 唱 監督

Miyake Sho

1984年生まれ、北海道出身。2007年映画美学校卒業後、初長編『やくたたず』(10年)を監督。劇場公開第1作『Playback』(12年)がロカルノ国際映画祭に正式出品された。そのほかの作品に、『THE COCKPIT』(14年)、『密使と番人』(17年)『きみの鳥はうたえる』(18年)がある。本年公開の『夜明けのすべて』は、『ケイコ 目を澄ませて』(22年)に続き、2作連続でベルリン国際映画祭に正式出品された。

奥山 大史 監督

Okuyama Hiroshi

1996年生まれ、東京都出身。監督・脚本・撮影・編集を行った初長編作品『僕はイエス様が嫌い』(2019年)がサンセバスチャン国際映画祭において最優秀新人監督賞を史上最年少で受賞し、国内では第11回TAMA映画賞最優秀新進監督賞を受賞。MV(米津玄師「地球儀」)や配信ドラマ(Netflixシリーズ「舞妓さんちのまかないさん」5・6・7話)で監督を手掛けるなど幅広く活躍。長編第2作『ぼくのお日さま』は、第77回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクションに日本から唯一出品された。

呉 美保 監督

O Mipo

1977年生まれ、三重県出身。大阪芸術大学卒業後、スクリプターとして映画制作に携わり、初の長編脚本『酒井家のしあわせ』がサンダンス・NHK国際映像作家賞を受賞、2006年同作で映画監督デビュー。『オカンの嫁入り』(10)で新藤兼人賞金賞を受賞。『そこのみにて光輝く』(14)でモントリオール世界映画祭ワールドコンぺティション部門最優秀監督賞を受賞。続く『きみはいい子』(15)でモスクワ国際映画祭にて最優秀アジア映画賞、および第7回TAMA映画賞最優秀作品賞を受賞。『ぼくが生きてる、ふたつの世界』は9年ぶりの長編作品となる。

押山 清高 監督

Oshiyama Kiyotaka

アニメーション監督/アニメーター/株式会社ドリアン 『風立ちぬ』『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』『借りぐらしのアリエッティ』『鋼の錬金術師 嘆きの丘の聖なる星』など多数の作品に携わり、『フリップフラッパーズ』で初監督。株式会社ドリアンを設立しオリジナル短編アニメーション『SHISHIGARI』を監督。MIFA2019で「押山清高の作画添削教室 break the rule」を開催。著書『押山式作画術 神技作画シリーズ』『作画添削教室 神技作画シリーズ』がある。

藤 竜也 氏

Fuji Tatsuya

1941年、中国北京生まれ。日本大学芸術学部在学中にスカウトされ日活に入社。『望郷の海』(62年)でスクリーンデビュー。その後、『嵐を呼ぶ男』(66年)で脇役ながら存在感を示し、『野良猫ロック』シリーズ(70~71年)ではメインキャストとして活躍した。大島渚監督『愛のコリーダ』(76年)『愛の亡霊』(78年)で海外でも高い評価を得た。近年は『それいけ!ゲートボールさくら組』『高野豆腐店の春』(いずれも2023年)などの映画に出演している。

吉沢 亮 氏

Yoshizawa Ryo

1994年生まれ、東京都出身。2009年に行われた「アミューズ全国オーディション 2009 THE PUSH! マン」で特別賞を受賞し、デビュー。「仮面ライダーフォーゼ」シリーズ(11~12年)で注目を浴びる。18年『リバーズ・エッジ』などで第10回TAMA映画賞最優秀新進男優賞を受賞。翌19年『キングダム』で第62回ブルーリボン賞助演男優賞、第43回 ⽇本アカデミー賞最優秀助演男優賞などを受賞。主な出演作にNHK大河ドラマ「青天を衝け」(21年)、『キングダム』シリーズ、『東京リベンジャーズ』シリーズなど。2025年に『ババンババンバンバンパイア』『国宝』の公開が控えている。

上白石 萌音 氏

Kamishiraishi Mone

1998年生まれ、鹿児島県出身。2011年、第7回「東宝シンデレラ」オーディションで審査員特別賞を受賞し、同年にNHK大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」でデビュー。14年に『舞妓はレディ』で主演に抜擢され、日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞。主な出演作に『ちはやふる 上の句/下の句/結び』(16年、18年)、『溺れるナイフ』『君の名は。』(いずれも16年)がある。そのほか、舞台「千と千尋の神隠し」(22年~)の出演や歌手としてのライブツアー活動など幅広く活躍。映画『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』が12月13日に、『35年目のラブレター』が25年3月7日に公開。

河合 優実 氏

Kawai Yuumi

2000年生まれ、東京都出身。19年にデビュー後、映画、ドラマ、CM、モデルなど多岐にわたり活躍。『サマーフィルムにのって』『由宇子の天秤』(いずれも21年)の演技で、第95回キネマ旬報ベスト・テン新人女優賞ほか、国内映画賞を数多く受賞。22年に『PLAN75』『ちょっと思い出しただけ』『愛なのに』などで第14回TAMA映画賞最優秀新進女優賞を受賞。24年は『四月になれば彼女は』『あんのこと』『ルックバック』『ナミビアの砂漠』が公開され、TVドラマ「不適切にもほどがある!」「RoOT / ルート」も話題を呼んだ。

近浦 啓 監督

Chika-ura Kei

1977年生まれ、福岡県出身。2018年、『コンプリシティ/優しい共犯』で長編映画監督としてデビュー。第43回トロント国際映画祭、第69回ベルリン国際映画祭など数多くの国際映画祭に選出され、国内では第19回東京フィルメックスで観客賞を受賞。23年9月、長編第2作『大いなる不在』は、第48回トロント国際映画祭でワールドプレミア上映され、同月の第71回サン・セバスティアン国際映画祭では最優秀俳優賞(藤竜也)とアテネオ・ギプスコアノ賞をダブル受賞。

山中 瑶子 監督

Yamanaka Yoko

1997年生まれ、長野県出身。19歳で撮影・初監督した『あみこ』(17年)がPFFアワード2017で観客賞を受賞。同作品は18年に第68回ベルリン国際映画祭のフォーラム部門に史上最年少で招待されたほか、香港国際映画祭やカナダのファンタジア映画祭など、各国の映画祭で上映され、話題を呼んだ。『ナミビアの砂漠』(24年)が第77回カンヌ国際映画祭の国際映画批評家連盟賞を受賞。

松村 北斗 氏

Matsumura Hokuto

1995年生まれ、静岡県出身。2020年1月、SixTONESとしてCDデビュー。俳優として、連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(21~22年)などのTVドラマ、『ライアー×ライアー』(21年)『劇場版 きのう何食べた?』(21年)『すずめの戸締まり』(22年)『キリエのうた』(23年)などの映画で活躍。24年は『夜明けのすべて』『ディア・ファミリー』の2本の映画に出演した。25年2月に『1ST KISS ファーストキス』の公開が控える。

齋藤 潤 氏

Saito Jun

2007年生まれ、神奈川県出身。19年にデビュー以降、「生理のおじさんとその娘」「トリリオンゲーム」(23年)「9ボーダー」(24年)ほか多数のTVドラマに出演し、映画『カラオケ行こ!』(24年)のオーディションを勝ち抜き、大役をつかんだ。その後『正欲』(23年)で磯村勇斗扮する佐々木佳道の中学生時代を演じ、映画デビュー。そのほか24年は『瞼の転校生』『からかい上手の高木さん』『室井慎次 敗れざる者』『室井慎次 生き続ける者』に出演した。

森田 想 氏

Morita Kokoro

2000年生まれ、東京都出身。幼少の頃より子役として活動をスタート。『ソロモンの偽証 』(15年)など多数の出演を経て、『アイスと雨音』(18年)で映画初主演を務める。そのほか『朝が来る』『タイトル、拒絶』(いずれも20年)『わたし達はおとな』(22年)『レジェンド &バタフライ』『愚鈍の微笑み』『正欲』(いずれも23年)などに出演。『わたしの見ている世界が全て』(23年)でマドリード国際映画祭2022外国語映画部門の主演女優賞を受賞した。

早瀬 憩 氏

Hayase Ikoi

2007年生まれ、千葉県出身。23年に、TVドラマ「ブラッシュアップライフ」で夏帆扮する門倉夏希の中学生時代を、「うちの弁護士は手がかかる」では平手友梨奈扮する天野杏の中学生時代を演じて注目を集める。CMやMV(SUPER BEAVER「決心」)にも出演。24年は、TVドラマでは朝の連続テレビ小説「虎に翼」や「からかい上手の高木さん」に出演する一方、映画では『違国日記』で新垣結衣とダブル主演を務め、『あのコはだぁれ?』でホラー作品に初出演した。

プログラム一覧

牛尾憲輔氏(電子音楽家/劇伴作家/プロデューサー)、佐々木敦氏(思考家/HEADZ主宰)
齋藤潤氏、早瀬憩氏、伊藤さとり氏(映画パーソナリティ)
井上淳一氏(脚本・監督)、芋生悠氏、碧木愛莉氏、杉田雷麟氏、宮田岳氏、中野ミホ氏
北村匠海監督、萩原利久氏、藤堂日向氏、SYO氏(映画ライター)
山中瑶子監督、河合優実氏、五所純子氏(文筆家)
呉美保監督、忍足亜希子氏、中井圭氏(映画解説者)
石橋夕帆監督、岩田奏氏(俳優)、石山愛琉氏(俳優)
井口奈己監督、小川あん氏(俳優)
小関裕太氏、中川龍太郎監督
チャン・ゴンジェ監督、ソ・ジュニョン氏
チャン・ゴンジェ監督、菊地成孔氏(音楽家/文筆家)
有馬尚史監督、松田咲香氏(写真家)、小川紗良氏(文筆家・映像作家・俳優)
竹林亮監督、川和田恵真監督
山崎まどか氏(コラムニスト)、ゆっきゅん氏(DIVA)
大山顕氏、佐藤大氏、稲田豊史氏、速水健朗氏、妹尾朝子氏、山内マリコ氏
山内マリコ氏(作家)
村瀬大智監督、中山慎悟氏、百々武氏(写真家)
小路紘史監督、遠藤雄弥氏、森田想氏、後藤剛範氏、倉本朋幸氏、佐藤五郎氏