第34回映画祭TAMA CINEMA FORUM
永山公民館(多摩市公民館)
関戸公民館(多摩市公民館)
ミュージシャンとして働く晴太は、広告で使用される音楽を制作し、生計を立てている。ある時 「今回は自由に音楽を作ってほしい」と頼まれて制作するが、自分が納得出来る音楽が作れなくなってしまう。スランプに陥った晴太はひどく憔悴し、誰にも何も告げずに失踪する。小さい頃に家族で過ごした山奥のペンションへ向かった晴太は、1人で音楽制作を始める。
2人の俳優と映画を作ろうと集まったことが本作を作ったきっかけです。3人で話し合う中で音楽と手話が題材として浮かび上がり、今のシナリオに至りました。この映画の主人公のように、僕もまた何かに取り憑かれるようにして本作を作った気がしています。是非楽しんで下さい。
1992年生まれ、兵庫県出身。少年期をアメリカで過ごし、京都造形芸術大学(現京都芸術大学)映画学科にて伊藤高史、林海象に師事。⻑編作『やさしいフルスイング』(2017年)が第39回ぴあフィルムフェスティバルで入選。短編作『moving』(21年)が第15回福井映画祭にて入選、第23回⻑岡インディーズムービーコンペティションにてグランプリを獲得。
佐久間家は精神的支えであった母を失う。父の賢介は悲嘆状態で失業し、中学生の長女・嬉々は、幼い弟と妹の面倒をみたり、親友の兄から斡旋してもらったバイトで家計を支えようとするがうまくいかない。ある日、担任教師・高妻の同僚への迷惑行為を目撃する。嬉々は教師を辞めた高妻の協力で現状を変えようとするが……。
この映画は、私が講師をしている演技レッスンに参加している子供たちを中心に撮影しました。厳しい状況で暮らす主人公が、たくましく奮闘する物語とリンクするように、現場で堂々とした演技で見せてくれました。この作品をご覧いただく方々に、俳優たちの素晴らしさが伝われば良いなと思っております。
1979年生まれ、大阪府出身。ビジュアルアーツ専門学校大阪を卒業後、 磯部鉄平監督作『ミは未来のミ』『コーンフレーク』(いずれも2020年)、『凪の憂鬱』(22年)、『夜のまにまに』(23年)などのプロデュ―サーを務める。監督した長編映画『嬉々な生活』(24年)がSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2024国際コンペティション部門にて審査員特別賞とSKIPシティアワードをW受賞。第37回東京国際映画際にて上映。
地方銀行の営業マンとして働く岸田。東京の本社で欠員が出たため、急遽東京への異動が決まる。急な話だったため、東京でフリーターをしている高校時代からの友人、倉のもとに一時的に世話になることに。一人でいることが好きな岸田は、次第に倉との忙しない共同生活に疲弊していく……。
人間関係とは、時間の流れとともに徐々に精彩を欠いていくものなのかなと感じます。本作ではそういった、じわじわ友情が終わっていく様を描いています。しんみりしたテーマではありますが、ひとつの映画として楽しんで観てもらえたら幸いです。
1993年生まれ、東京都出身。中央大学文学部で近現代文学を学び、小説の執筆を始める。2019年シナリオセンターで脚本、20年ニューシネマワークショップで映像の基礎を学ぶ。24年、ENBUゼミナール監督コース在学中に本作『ジンジャー・ボーイ』を制作。
木嶋は、夜の高校のグラウンドでトンボをかける女性の映画を撮ろうと考えているが、脚本が進まずにいる。ある日、新しくバイト先にやってきた松坂という無口な女性に木嶋は心を惹かれ、彼女に当て書きをすることで脚本を書き進めていく。
この映画は、もしかしたら誰も見ないかもしれないと思って作りました。ですので、誰も見なかったとしても、自分にとって作る価値のあるものにしたいと思いました。皆さんに見てもらえることを、不思議に思います。
1998年生まれ、愛知県出身。映画美学校フィクション・コース24期修了。初等科修了制作作品『キックボード』が校内のセレクションに選出されアテネ・フランセ文化センターにて上映される。本作『松坂さん』はその次の作品。
他人の身体に触れることができない「接触恐怖症」を患う原健太郎は、友人の歩夢とその恋人・瞳の関係をもとにした小説を密かに執筆している。ある日、歩夢と瞳の喧嘩に居合わせた原は、怒って帰ろうとする瞳に「瞳さんの言いたいこと、分かるよ」と声をかける。それから瞳は原に興味を持つようになる。瞳は執筆中の原の小説を読み、心を動かされる。原が唯一の理解者だと感じた瞳は、原の接触恐怖症を治そうと試みる。
自分を知ってほしい、理解されたいと強く願っていても、実際に自分を理解しようとしてくれる人が現れると、理解されることに強い恐怖を感じてしまうものです。どうすれば人は、理解されることの恐怖を乗り越え、他人と心を触れ合わせることができるのかということについて考えるためにこの映画を作りました。
2000年生まれ、神奈川県座間市出身。立教大学文学部在学中に映画美学校に通いながら映画制作を学ぶ。現在は東京藝術大学大学院映画専攻監督領域に在籍し、諏訪敦弘、塩田明彦両氏に師事している。『オキシトシン』は第35回東京学生映画祭実写長編部門でグランプリを受賞し、福井映画祭にも入選した。畔柳太陽監督の『松坂さん』では、編集、撮影助手を担当。
牧原和章は木下家が営む中華料理屋で居候をしながら働いていた。木下家の長女・美和は仕事をせずに未完の物語を書き続けていた。そんな美和に食事を作りながら世話をする牧原だったが、ある出会いをきっかけに牧原と美和の「日常」は少しずつ変化していく。蝉時雨、牧原と木下家は「今」を生きていこうとする。
僕は「今」が好きです。今は1番新しい自分、瞬間、作品です。たとえそれが辛く悲しい状況だとしても「今」を生きていられる人でありたい、難しいですが。この作品は深海の中にいるような家族が、人が、「今」に目を向けようとするお話です。日本語以外の言語も出てきますので多くの方に観ていただけるよう日本語字幕をつけています。作品を彩る一つの要素としてもお楽しみください!
1988年生まれ、愛知県出身。⼤学卒業後、障がいを抱える⼦どもの療育施設に従事。担当した⾼校⽣たちと映画を撮ったことを機に、映画監督を志す。初長編監督作品『リバーシブル/リバーシブル』が第23回 TAMA NEW WAVE ある視点部門入選、ぴあフィルムフェスティバル PFF2023アワード審査員特別賞を受賞。長編映画脚本『ひかるの合唱』は 2024 年サンダンス・インスティテュート/NHK賞のNHK推薦作品に選出。
1967年生まれ、東京都出身。映画監督。8mm映画『犬猫』でPFFアワード2001の企画賞を受賞。2004年『犬猫』をセルフ・リメイクして商業映画デビューし、同年のトリノ国際映画祭にて審査員特別賞ほかを受賞。他に『人のセックスを笑うな』(08年)、『ニシノユキヒコの恋と冒険』(14年)、短編『だれかが歌ってる』(19年)、ドキュメンタリー作品『こどもが映画をつくるとき』(21年)、短編『左手に気をつけろ』(23年)などがある。
1998年⽣まれ、東京都出⾝。『天国はまだ遠い』(16年、濱⼝⻯介監督) 、『あいが、そいで、こい』(19年、柴田啓佑監督) などに出演。『PLASTIC』(23年、宮崎⼤祐監督) 、『4つの出鱈目と幽霊について』(23年、山科圭太監督)、『彼方のうた』(24年、杉田協士監督)、『犬』(24年、中川奈月監督、オムニバス作品『NN4444』の1篇)と主演作が相次いで公開。秋以降『石がある』(24年、太田達成監督)、『STRANGERS』(24年、池田健太監督)が公開されている。「DVD&動画配信でーた」「キネマ旬報」にて連載をもつなど映画にまつわる執筆も行っている。