第34回映画祭TAMA CINEMA FORUM
永山公民館(多摩市公民館)
関戸公民館(多摩市公民館)
早くに結婚して夢を諦めたノゾミと、恋人のモラルハラスメントに耐えかねて自殺未遂をしたヨリコ。ヨリコが療養のために実家に帰ってきたのをきっかけに、かつて親友同士であったノゾミとヨリコは再会する。会話を重ねるうちに、ふたりは果たせなかった約束を思い出す。「いつか授業を抜け出して一緒に遠いところに行こう」という高校時代の約束を果たすため、ノゾミとヨリコは今の日常を抜け出して緑の深い山に登る。ふたりは頂上にあるという、鳴らせば幸福になれる鐘を目指して歩き続ける……。
私にとって映画を撮るということは、意識を未来の完成品に向けるのではなくて、みんなが生きているその瞬間を全身で浴びるということだと、今作を通して確信しました。映画の画面の内側と外側にいる愛しい人たちの呼吸に、あなたの人生の84分間をただ委ねていただければ幸いです。
2001年生まれ、山形県出身。東北芸術工科大学の映像学科に入学し、映画制作を始める。前作『水槽』で、PFFアワード2022エンタテインメント賞(ホリプロ賞)を受賞。また、卒業制作である今作はPFFアワード2024に入選。現在、東京藝術大学大学院の映画専攻に在学中。
実家でひきこもって生活している山寺真理(35歳)は、突然やってきた引き出し業者・ハートスクールに拉致される。ハートスクールに収容されて内職労働をさせられる真理は、相部屋の森下律子(31歳)が企てる脱走計画に手を貸すのだが……。現代日本に実在する引き出し屋という悪質な自立支援業者を題材とする脱獄サスペンス。
脱獄映画が昔から好きでした。監獄に捕まった人が外に逃げ出そうと苦闘する映画をいつか自分も作ってみたいと思っていました。ニュースでひきこもりを拉致して施設に収容する引き出し屋という存在を知り、そこから逃げ出そうとする人の物語を思いつきました。楽しんで観ていただけますとありがたいです。
1992年生まれ、兵庫県出身。2016年京都大学文学部卒業。16年から23年まで株式会社コーエーテクモゲームスでゲームプランナーとして働く。会社員として働きながら趣味で自主映画制作を続けていたが、23年に退職して立教大学大学院現代心理学研究科に入学。それから現在まで映画監督・篠崎誠に師事し、映画制作を学ぶ
お盆休みで地元に帰省するため駅に降り立った夏帆は、母の迎えが来たと勘違いし、見ず知らずの人の車に乗り込んでしまう。車から追い出され、路頭に迷った夏帆は実家までの帰路を寄り道しながら自由気ままに歩き始める。一方、東京で就職活動中の瑠璃も故郷に帰ってくる。父・健司の車に乗ると、どこか見覚えのある紙袋を見つけた。
「帰る」行為に対して興味があり、「帰り道」を舞台にこの映画を制作しました。慣れ親しんだ道で、すれ違う人を観察したり現象に注目したり。小さな刺激とともに、その日の出来事を振り返り、思考を整理する時間を過ごす行為自体が、映画になるのではと思いました。この映画を観た後、思わず寄り道してくれたら嬉しいです。
1995年⽣まれ、茨城県出⾝。武蔵野美術⼤学映像学科⼊学後、初めて映画を監督。同⼤学院に進学し、⾃⾝の制作に⾝を⼊れる。2021年4月より武蔵野美術大学 映像学科の助手に着任。その傍らフリーランスの映像作家としても活動中。 20年初⻑編作品『冬のほつれまで』が第31回東京学⽣映画祭 東学祭コンペティション部⾨ グランプリを受賞、ぴあフィルムフェスティバル PFFアワード2020⼊選。
青年が脚本を書き進めると一人の女性(塚田えみ)の世界に移り変わる。役者であるえみは主演を務めた映画を見ながら引っ越しの準備をしている。棚の片付けをしていると見覚えのない脚本が出てくる。脚本を手にすると過去に遡り、引っ越し準備をする以前の部屋に戻っている。思い出と共にこの部屋での断片的な生活の一部が映し出されていく。所々で青年のカットが挟まれる。主人公の世界は、この青年の完成していない脚本の中の世界。
主演の塚田愛実さんが留学前に映画を撮りたいと声をかけてくれました。愛実さんの「この先が絶望と分かっていながら希望いっぱいに飛び込む」様子を描きたいという想いと私自身、映画を作りたいけど「それ以前に自分が何かを望むことは許されていない」それでも夢を抱いてしまう葛藤を一つの作品に落とし込みました。
1996年生まれ、兵庫県出身。中学の時引っ越した家は地デジの乗り換えに大失敗し、地上波放送の見れない液晶モニターだけが残った。ある日スーパーで販売していた版権切れで安くなったヒッチコックの『レベッカ』のDVDを見て、映画の面白さに出会う。大学ではファッション学科に進むが、ひょんなきっかけで映画制作に参加。卒業後、大学時代の仲間と映像制作団体「世田谷センスマンズ」を結成。現在、美術部としても活動している。