第34回映画祭TAMA CINEMA FORUM
永山公民館(多摩市公民館)
関戸公民館(多摩市公民館)
離婚都市と呼ばれるリノを訪れたロザリン(M・モンロー)。離婚直後の彼女は、カウボーイのゲイ(C・ゲーブル)、そして自動車修理工のグイド(E・ウォラック)と知り合う。ロザリンに心を奪われるふたりの男。さらにゲイの友人パース(M・クリフト)も加わり、一行は砂漠へ野馬狩りに出発する。馬と人間の壮絶な闘いを見たロザリンはそれを止めようとするが……。
「セールスマンの死」などで知られ、実生活ではマリリン・モンローの夫でもあったアーサー・ミラーが脚本を担当。監督は、骨太な作風で知られるジョン・ヒューストン。離婚したてのダンサー、ロザリンを演じたマリリンにとっても、落ち目のカウボーイ・ゲイを演じたクラーク・ゲーブルにとっても、決して順風満帆とはいえないタイミングで作られた本作が、両者にとって遺作となってしまったことを知る現在となっては、台詞のひとつひとつにメッセージを感じながら見ずにはいられない。特に、ゲイと、自動車修理工のグイド(E・ウォラック)と出会ったロザリンが、ダンスを踊りながら言う「人は誰も皆死に向かっている」という台詞には胸をつかれた。そんな本作の原題は“The Misfits”。「不適合者」を意味するが、ロザリンたちが生きるための手段を探そうとするラストは、表面上は多様性に寛容的になった(とされる)現代にこそ通じるものがある。イメージに抗い、自分だけの生き方を見つけようと努力したマリリン。彼女の生き方から私たちは何を受け取り、行動できるだろうか。 (な)
1980年生まれ、富山県出身。作家。大阪芸術大学映像学科卒。2008年「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞し、12年「ここは退屈迎えに来て」でデビュー。主な著書に「アズミ・ハルコは行方不明」「選んだ孤独はよい孤独」「すべてのことはメッセージ小説ユーミン」などがある。16年に刊行した「あのこは貴族」が岨手由貴子監督によって映画化され、21年TAMA映画賞最優秀作品賞を受賞した。今年刊行した「マリリン・トールド・ミー」ではマリリン・モンローをテーマに執筆。「結婚とわたし」「きもの再入門」などエッセイも発表。最新刊はU-NEXTより刊行予定。