第35回映画祭TAMA CINEMA FORUM
夏休みの宿題の“絵”に取り組むのび太のもとに、突然、絵の切れ端が落ちてきた。ひみつ道具「はいりこみライト」で絵の中に入って探検すると、不思議な少女クレアと出会う。彼女の頼みで〈アートリア公国〉を目指すドラえもんたちだったが、そこは、現代で発見された謎の絵画にも描かれた、中世ヨーロッパの世界だった――。
『映画ドラえもん』の44作目。「絵画」をテーマにした本作は、創造的な面白さに溢れる作品に仕上がった。名曲「夢をかなえてドラえもん」に乗せて名画の世界を旅する楽しいオープニング映像、カートゥーン的な動きの魅力が詰まった工事現場でのドタバタアクション、ほうきに跨(またが)って空を飛ぶしずかちゃんの大活躍、お馴染みのひみつ道具を駆使した最終決戦など、見応えたっぷり。原作「大長編ドラえもん」から共通するモチーフである「異文明の子どもたちとの友情」も存分に描かれ、今の時代に響く物語となっている。
「へたでもいいから、大好きなものを大好きだーって思って描いてごらんよ」その言葉を受け、のび太が描いたへたっぴなドラえもんの絵が奇跡を起こす。子どもの頃、自分も何度も描いてきたドラえもんの絵――その思い出が形になったような感動を覚えた。鑑賞後は、大人も子どももきっと、大好きなドラえもんの絵を描きたくなることだろう。(玉)
長野県警の大和敢助は雪山で男に撃たれ左眼を負傷し、雪崩に巻き込まれる。10か月後、事件の捜査のため天文台へ駆けつけた敢助だったが、突然巨大パラボラアンテナが動き出すなり、失明したその左眼がなぜか激しくうずき出す。その夜、毛利小五郎のもとに同僚だった刑事「ワニ」から電話が入り、雪山の事件ファイルに彼の名前があると聞く。
子供の頃から劇場版『名探偵コナン』を鑑賞し続けている。初めて劇場版を観たのは『時計じかけの摩天楼』だったか。それ以来ゴールデンウィークが近づくとコナンを観たくなる。そして最近のコナンは毎年ますます進化を続けている。アクションシーンが満載で『ミッション:インポッシブル』のイーサン・ハントを超えているのではないか。
今作も140億円以上の興行収入のメガヒットとなり、映画史に足跡を刻み続けていることには感心させられるばかりである。毎年魅力溢れるキャラクターがメインを務め、観客を飽きさせない。
今作では長野県警がメインを務めたが、次々と観客を魅了するキャラクターが出てくることもコナンの魅力である。年替わりにMVPが出てくるのである。来年はまた新たなMVPが生まれることを楽しみにしている。
しかし、そんななかでも眠りの小五郎のカッコ良さは劇場版ならではの楽しみではないか。おっちゃんの痺(しび)れる姿を今後も見届けていきたい。(名)