第35回映画祭TAMA CINEMA FORUM
かつて小学校の教師をしていた金子は、生徒のいじめにより退職し、現在は実家の一軒家でひとり静かな生活を送っている。ある日、教え子である深見が、大学の卒業制作として、金子のドキュメンタリーを撮ろうとカメラを向け始めるが……。
この映画に登場する家は、実際に金子役を演じた今野さんが中学生の時から住み続けているご実家である。実際にそこに住む人と、その場所を切り離さずに劇映画として撮ってみると、どのような映画になるのかと興味が湧き映画を撮ることにした。そして、このことは自主映画だから出来ることの一つの強みだと思っております。
1999年生まれ、大阪府出身。京都芸術大学映画学科で映画制作を始め、卒業後、映画を撮り続けるために映画美学校に通う。現在はアルバイトをしながら、大学と映画美学校で出会った人々と自主制作を続ける。本作は、PFFアワード2025に⼊選。次回作は、ndjc:若手映画作家育成プロジェクト2025の製作実地研修に参加中である。
映画学校の録音スタジオにやって来た青葉は、映像のアフレコを行ううちに、かつて「誰かを殺した」という曖昧な記憶が徐々に蘇っていく。
本作では、言語をめぐる迷宮を構築し、虚構と現実の境界を探る試みを行いました。インスピレーションは、自己認識への戸惑いと記憶の不確かさから得たものです。青葉の物語を通して、観る人が自分自身の記憶や内なる揺らぎに目を向けるきっかけになれば幸いです。
1998年生まれ、中国出身で、現在、武蔵野美術大学大学院にて映画を専攻している。前作『分離の予感』は、第46回ぴあフィルムフェスティバル、なら国際映画祭など、国内外の映画祭に正式出品され、TAMA NEW WAVE 2024「ある視点」部門にも入選している。
赤い車を運転する佐藤はイヤホン越しに何かと会話しながら車に、次から次へと3人の男たちを後部座席に乗せていく。車に乗せられた3人は狭い車内でレインコートに着替える。そして、車はとある民家の近くに停車する。佐藤は「6分」と後部座席に座る3人に指示を出す。3人は車から出て行く。しかし3人は予定の時間よりも早く、怯(おび)えた様子で帰ってくる。32分ワンカットで撮影された映画。
この映画を制作したきっかけは、私の自宅近くで闇バイトが絡む殺人事件があり、後日詳しい記事を読むと、加害者の20代の青年は家族が人質に取られ仕方なく犯行を行ったと書いてありました。私はこのような事件が増えるなか、最悪な未来を描くことで、最悪な未来を防ぐ事が出来ないかと思い、本作を作りました。
1995年生まれ、東京都出身。桜美林大学芸術文化学群演劇専修卒業。卒業後は俳優として活動を始める。2022年に俳優養成所の同期である、河野宏紀監督の映画『J005311』で初の主演を務める。作品は、第44回PFFアワードでグランプリを受賞、第23回TAMA NEW WAVEのある視点部門に入選する。
閉鎖的な山村にひっそりと教会を開いた女性牧師、神沢真理。彼女は身体に障害を抱えながらも日々村人に説教を届けようと努めていたが、村人たちからの視線は冷たい。或る日、真理は神楽の祭で見かけた若い女性、亀倉憂那に興味を持ち、後をつける。やがて憂那こそが教会に嫌がらせをしていた人物だと突き止めるが、彼女は逆に真理の信仰を激しく批判する。その会話のさなか、憂那の胸元に不可思議な光が差す。光は山の方角から放たれていた――。
「他人」と「神」はかなり似ていると思います。「他人」とは言葉という強靭(きょうじん)なコミュニケーションツールで繋(つな)がることができるように見えて、実は規則的な遊びを繰り返しているに過ぎず、断絶が横たわっています。この作品は人間の孤独を茶化し、そして馬鹿にした作品です。
1998年生まれ、香川県出身。タイムトラベラーを食事会へ招待するというホーキング博士のアイデアをもとに制作したSF短編『モンブラントラベラー』が、大分県中津市山国町開催の山国映画祭にて大賞を受賞。山国町、山国映画祭の支援を受け、長編『スプラヒスピル』制作。