第35回映画祭TAMA CINEMA FORUM
上田唯士(嶋田)、10歳、小学4年生。いたってふつうの男子。最近、同じクラスの三宅心愛(瑠璃)が気になっている。環境問題に高い意識を持ち大人にも臆せず声を挙げる彼女に近づこうと頑張るが、心愛はクラスのちょっぴり問題児、橋本陽斗(味元)に惹かれている様子。そんな3人が始めた“環境活動”は、思わぬ方向に転がり出して――。
昨年、『ぼくが生きてる、ふたつの世界』でTAMA映画賞特別賞を受賞された呉美保(お みぽ)監督の最新作です。今回は“子どもの映画”ということで、前作とはまったく異なる作品となっており、公開を心待ちにしていました。小学生の日常がありのままに描かれ、子どもたちの生き生きとした姿がスクリーンいっぱいに広がります。「こんな子、いるいる!」と思わず共感してしまう場面がたくさんありました。
唯士くん、心愛ちゃん、陽斗くん――3人の関係性にも、ぜひ注目して観ていただきたいです。そのほかの子役たちの自然な演技も、見どころの1つです。大人も、まるで10歳の自分に戻ったかのような気持ちで共感でき、子どもと一緒に心から楽しめる、ワクワクが止まらない作品に仕上がっています。私の大好きなこの映画を、ぜひ多くの方にご覧いただきたいと思います。(真)
1977年生まれ、三重県出身。スクリプターとして映画制作に携わり、初長編脚本『酒井家のしあわせ』でサンダンス・NHK国際映像作家賞受賞、2006年同作で映画監督デビュー。『オカンの嫁入り』(10年)で新藤兼人賞金賞受賞、『そこのみにて光輝く』(14年)でモントリオール世界映画祭ワールドコンぺティション部門最優秀監督賞受賞、『きみはいい子』(15年)でモスクワ国際映画祭にて最優秀アジア映画賞および第7回TAMA映画賞最優秀作品賞受賞。2児出産を経て9年ぶりの監督作『ぼくが生きてる、ふたつの世界』(24年)は第26回上海国際映画祭コンペティション部門選出および第16回TAMA映画賞特別賞を受賞。
1980年生まれ、栃木県出身。お笑いタレント、女優。98年吉本興業より森三中としてデビュー。『福福荘の福ちゃん』(2014年)でおっさんの福ちゃん役で主演。カナダのモントリオールで開催された「第18回ファンタジア国際映画祭」で、最優秀主演女優賞を受賞。24年、ガンバレルーヤとともに「MyM(マイムー)」を結成。アーティストとして活動。25年に『父と僕の終わらない歌』に出演。